迷走、瞑想、競う、奇想。「生存」のタメの絵なのか、「絵」のタメの生存なのか。。。イラストレーターの「ロスジェネ時代」に奮闘(もうしない)イラストレーター!

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ゾ~ロ目~ゾ~ロ目~、たっぷりぞろ目~~~

今日は11月11日です ゾロ目だ

で、全然流れが関係ないけど
久しぶりに超…就職氷河期物語。『KITIKU・SOHO師90』のノベル続編です

えっと何話目だっけ…(21) …(22) 話か。
今回はXTX篇続きです。じゃあひさびさなので「あらすじ」からスタート

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・バブル崩壊後の1990年代初頭、株価の暴落と共に突如始まった平成不況の波は中小企業経営者や新卒者らを追い込み、じわじわと真綿で首を締め付けるように日本社会に広まりを見せて行った。そして、その中で、1970年~1984年頃に「団塊世代、ポスト団塊世代のジュニア」として生を受けたXTX(エックスティーエックス)たちは、それまでとは打って
変わった厳しい就職難の壁に突き当たることになる。
約10年~15年もの長きに渡る「超就職氷河期」を生き抜いた
彼/彼女らのことを人々は「貧乏クジ」を引いた世代、「ロスト・ジェネレーション」と呼ぶ。

この物語は、その「氷河期の最中に」社会の中に放り込まれた幾人かの『ロスジェネ』たちと
取り巻く群像の、長い長い、「奇跡」なき迷走の軌跡…………。


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超…就職氷河期物語。『KITIKU・SOHO師90』(22)

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道路沿いの歩道脇に立って車道の車を紅白の旗を振って工事現場前から誘導しながら、
XTXは時折風に乗ってヘルメットの下の鼻先を掠めて通る廃棄ガスと粉塵に少しだけ
眉根を顰めた。

(ふう、短期とはいえ相変わらず足が痛くなりそうなバイトだなぁ……)

本通りから比べればまだしも交通量はそれ程多くはない横道で、
やっと車の流れが途切れた車道を眺めながら、
Xはヘルメットを目深に被り直してその場に姿勢良く立ち止まった。

少し離れた反対車線の向こうには、もう一人同じ警備会社から現場派遣された
若い男性がXと同じ警備服姿で立っている。二人一組なので、それ程経験が長くない
XTXでも誘導が難しい流れではなかった。

少し立ち止まって直立不動で警備員らしく振舞ってはまた車を誘導してを繰り返して、
4~5時間が経過した。休憩時間は現場の監督から許可を貰って、
Xは警備服のままヘルメットを小脇抱えて、近くの定食屋に一人で向かった。

最初、警備服のまま喫茶店などに入るのは何となく気恥ずかしかったが、
流石に数ヶ月こなしていれば、そんな事は殆ど気にはならなかった。

その日も少し外観に年季の入った定食屋の引き戸をガラガラと開けると
XTXは狭い店内の適当なテーブルに腰掛けてお品書きを手にとった。
年若いXが一人で入ってきたのが珍しかったのか、注文を取りにきた
60代以上には見える店員の女性はしきりに愛想良く話しかけながら
Xを眺めた。

「へえ~、警備員のお仕事なさっているのねぇ~、すごいわ~」

「いえ、そんな事はないです」

「時代は変わったのね~、私が若いころなんかね、女性がそんな
仕事に就くなんて思いもしなかったものスゴイ!」

「そうですか……」

運ばれてきたうどん定食の割り箸を持ち上げながら、XTXはくすぐったい様な
申し訳ないような心境に駆られて苦笑を浮かべた。
定食屋の女性店員は感慨深そうに皺の深い頬を緩めて、
目を細めて頷いた。

「良い時代になったもんよね……」

「………。」

湯飲みにお茶を一杯注いでもらって、ゆっくりと魚フライに箸をつけた。
彼女の指摘は半分は当たっていて、もう半分は……………まだ不十分だった。
バイトとしては、男女の賃金格差はない警備会社ではあったけれども、
女子の割合はかなり少なく、正社員に至っては事務員以外には
ほぼ皆無だった。

そして、XTX自身に当てはめるなら、Xに向けられた
意味的において少しずれていた。

(自分のことを女子だと思ったことは、子どもの時から数えても
ほとんどないんです。ごめんなさい………)

小学校の頃は「男子」的振る舞いと「女子」的振る舞いの間で自意識を行ったり
来たりしていたXTXは、中学になる頃にはすっかりその間をすっ飛ばして自分自身
を認識するに至っていた。この時代において未だ「ナナシのセクシュアル」であった
自意識に目覚めた学生時代を思い起こして、XTXはなんだか
自分が先ほどの女性を「女」のフリをして騙しているような気分に駆られていた。

「すいませーん、お茶をもういっぱいください」

それを払拭するようにつとめて明るく振舞うとXTXはカウンター向こうの
厨房に居た女性にお茶のおかわりを
頼んだ。その途端に、彼女は横の料理人らしき男性と顔を見合わせた。

(※続きを読むにつづく)
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「お茶のおかわりだって?そんなことある?」

「まあいい、やっとけよ…」

「あっ…(しまった……?)」

途端にヒソヒソと話す二人の怪訝そうな態度を見て、
先程のお茶がサービスだと言うことを知らなかったXTXは、セクシュアルが
ばれた時よりも気まずくなって、ヤカンを持って現れた店員に頭を軽く下げた。

「ふぅ……」

60分の休憩時間を終えて、定食屋から出てきたXTXは右手でヘルメットをブラブラさせながら

、工事現場に向かった。

(何気なく自分がやった仕事が、後の誰かの道を切り開くなんて言われても、正直
荷が重いよ………)

今は不安定な境遇をなんとかする事だけに集中したいと言う自分の気持ちと、深い皺の刻まれ

た女性の顔を思い起こして、Xは排気ガスの多い道路沿いの車の流れを眺めた。

(それ以前に、こういうの少しは慣れてきたと思ったけど、まだまだ場馴れしていなんだな…

…色々細かいことが面倒だと思う)

先程までの好意的な雰囲気が、たかだかお茶一つで台無しになったことに多少の理不尽さを
感じながらも、XTXは今日のバイトが無事に終わるようにヘルメットを被りなおして
頭を切り替えた。

「えーと」。

翌日、地下鉄から数駅程の路線に乗って到着した民家と路地の境で、
地図を片手に数分ほどキョロキョロしていたXTXは、
程無くしてルームマンションの向かいの立派な
門構えの一軒屋の前に立った。

「………」

左手の時計で時刻を確認した後、一呼吸置いてXはインターホンを押した。

『はい、どちらさま』

「あっ、北さん?来たよ!」

『ああ、今開ける』

「北さん家に来た!」

「はいはい…良かったな」

門を潜って玄関の前で待っていると、北方がジーパンにブラウスとカーディガン
を肩に引っ掛けたラフな普段着のままで現れた。

「この間の電車賃を返そうと思ってさ」

「わざわざ持って来たら高くつきそうなもんだろうに…」

「利子の分、足で来たってことで」

「まさか、歩いて来たってことじゃないよな」

怪訝そうな目で、自分の顎に手を当てた北方の前で、
XTXはやや大袈裟に首を傾げて見せた。

「まさか~、一駅だけだよ」

「よくやる……」

「だって北さんの本拠地が見たかったんだよ」

「なんだ、本拠地って」

「ああ、うんそろそろ引っ越すかも知れないから、ほらこれが
この間の分だから、ありがとう」

いつもの子どもっぽい軽口に苦笑を浮かべて腕組みをしている北方に、
肩に掛けていた黒カバンを手元に下ろすと、Xは封筒を
取り出して手渡した。

「確かに全額…利子の分は無しか?」

「北さんがその眼鏡をくれたら、利子を100円つけるよ!」

「利子よりその条件の方が損するわっ」

「へーでも、眼鏡掛けることがあるんだね、視力はどれぐらい?」

「裸眼で左右0.1と0.2…取ったら視界が霞む」

「ほんとに?それじゃ、眼鏡を取ってわたしを見て!触って!」

「似合わない、女言葉はやめろ……」

「北さんだったら似合うかもね、ギャップが面白いから」

「煩いわ、北さんと呼ぶものもいい加減やめろ」

「はは、もう馴染んでるかと思った…」

間近で笑いながらも、XTXはなんとなく、一歩背後に身を引いて僅かに視線を逸らした。

(…世間的に、こう言うのを自滅したって言うんだろうな…………。)

この間の駅での出来事が突然脳裏に蘇り、XTXは急に気恥ずかしいような、
いたたまれない心境になっていた。

「もう引っ越すから近くには寄れないかも……北さん家」

「…折角ここまで来たんだから、コーラでも飲んでいくか?」

「あっ、コーラあんまり好きじゃない」

「我侭だな……サイダーもあるぞ」

「うん折角だけど、そろそろ部屋の片付けとかしなきゃいけないから、
今日はこれで……」

「そうか、一人暮らしだと大変だな」

特に勘繰ることもなく北方は、いつもの癖で腕組みをしたまま
尊大に頷いた。

「あっそうだ、利子の代わりがあった」

春物のコートのポケットをごそごそと探って、
Xは冷凍ミカンを取り出した。

「どっから出した、それ」

思わず噴出しそうに破顔して北方はそれを受け取った。

「此処に来る途中の商店街でタダで配ってたから貰ってきた」

「ほんとか!場所を教えろ」

「北さんには教えない」

「ケチっ!」

「残りは出世払いで返すから、今度遊びに来た時に」

「はいはい、っもう遠方に引っ越すんだろ」

「うん…今度来れたら北さん家の押入れに住み着いてもいい?」

「家賃は50万取るぞ」

「北さんの方がケチ、あっ、だから略して北方」

「状況考えろよ……押入れに誰か居るのは50万でもイヤだぞ」

「日本は狭いから、これ以上人口が増えたらその内陣地合戦でもして、
そうなるかもね」

「イヤなこと言うな……でも確かにオレらの学校は人数が多いから、
大変かもな」

「そうだね、仕事とか競争率が激しくて大変だよ」

「それ聞きたくないなぁー、短大だから来年でもう卒業だ」

手元の冷凍ミカンを転がしながら北方はごちた。

「でもまだ北さんは現状では学生だからいいよ、
これからどうしようかと思ってる……」

「なんだ、仕事がイヤなのか?」

呆れたように顔を上げながら、北方は訳知り顔で
XTXをじっと見た。

「そんなことないよ…でもこのまま突っ走っていいのかな」

「めずらしく弱気だな…よっぽどおかしなヤツでもない限り、
誰も他人の人生なんか本気で止めやしないよ、好きに行け!」

「うん……」

「行きたいとこ行って、やりたいことやって、立ち止まるのは
それからでも遅くはないだろ」

「そうだね、冷凍ミカンに…出世払いしなきゃ」

「そこは人にしておけよ」。

GWも間近に迫った頃、XTXは大阪で最終日のバイトを切り上げた。

(今日で関西のバイトも当分終了か……)

光化学スモッグの漂う空を見上げて、XTXはいつもの調子で
道路沿いに立った。

「もう辞めるのか、うちの警備会社は女子はあんまり来ないから面白かった
んだけどなぁ」

「面白いですかー?」

「まあ色々と、だって女子は嫌がるよね?
道路工事の近くに立つのってさ、埃も被るし」

20代そこそこの若い男から
微妙な褒め方をされてXTXは少しだけ返答に迷った。

「そうですか?でも、トラックの運転手にも女性がいますし…
これからは増えそうですよ、多分」

「ああ、そういえばそうだね、おっと車が来た」

話も早々に警備員仲間の男子は危なっかしい勢いで
道路を横切って渡って行った。

(いつまで職場で女子のフリをすればいいのかな………)

若い男子と話すと、細々と女子のフリをしなきゃ
変に勘繰られるので、気遣いが面倒な上に、
適当に受け流すのも億劫だった。

(まあ、ここは今日で最後だからいいけどさ……)

いつものように車が途切れた時に直立不動で道路に立ちながら
XTXは手持ちぶたさでヘルメットを目深に下げた。

「お兄さん、お兄さん……」

「……?」

ふと自分の立っている歩道の左手側から、明らかに
こちらの方角に向かって低い声が掛けられて、XTXは振り向いた。

「はい、なんでしょう?」

こちらを見た高齢の男性は一瞬きょとんとした顔を向けて、
直ぐに能天気そうに話しかけてきた。

「此処でバイトしてるんかぁー?」

「はい、そうです」

「そうかー大変やな、時給は高いんか?」

「ええ、まあまあ良いです……」

薄汚れたツナギのような茶色の服を着た高齢男性の下半身は
尿漏れの為にあきらかにぐっしょりと濡れていた。
それを見ないフリをして、XTXはなるべく明るい声で愛想良く答えた。

「そうか、仕事の募集していたらいいなー」

「まだ募集していると思います」

「どうしました?」

ベテランの男性警備員が心配して二人に声を掛けてきた。

「そうか、じゃあ頑張ってなぁー」

「はい、ありがとうございます」

ヘルメットのツバを軽く抑えながら会釈して、
XTXは何事も無かったように業務を続けた。

(お兄さんか……男ものの服を着ていたら、それも時々言われるな……)

お兄さんだの、お姉さんだの…人の認知能力は
案外いい加減なものだと心の中でごちながら、
それでも元来が能天気なXは少しだけそんな自分の体型を
面白がってもいた。

(他人からどっちに見えようと、自分の行きたいところに
いけばいいよね、今は………)

少し前の北方との会話を思い出して、そこから更に前の余計な場面を
なんとか一時的に頭から取っ払うと、XTXは無意識にヘルメットの紐を軽く引っ張った。

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           超…就職氷河期物語。『KITIKU・SOHO師90』…次回に続く。
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・余り間が開いたのでXTXの年齢を忘れかけ…(ry
次回こそは「果汁グミ篇」入りまーす、まだ当時は高校生だね彼女は。17歳、時流からいくと、
もう少しでポケベル世代っす;


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