迷走、瞑想、競う、奇想。「生存」のタメの絵なのか、「絵」のタメの生存なのか。。。イラストレーターの「ロスジェネ時代」に奮闘(もうしない)イラストレーター!

2017/09 |  12345678910111213141516171819202122232425262728293031 | 2017/11

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
…日中は暑いので、趣味の領域はまだまだホラー優先な日々。

でもやっと昼はともかく夜はぐっと気温が下がって秋めいてきましたね
夏の暑さで痛めつけられた体もようやく一服できそうなこの頃、
虫の音で気持ちがクリーンになりそうな時間帯、皆様はいかがお過ごしでしょうか

うん、そう今週はムシムシコロコロりんりんり~んで行こう
(ナニこの微妙なテンション)

※ 本作品はフィクションです、実在の人物・団体名とは一切関わりがありません。
また、作品を読むことで発生したいかなる現象にも一切関知いたしませんのでご了承ください。
(お祓い等はご自身の責任でお願いいたします。)

---------------------------------------------------------------------------

『魂喰らい』第二闇。後編

---------------------------------------------------------------------------

「うわ、また床の上で寝ていたあかんやろ」

フローリングの床から、背中をさすりながら鈴果は立ち上がると、
ヨタヨタとアヒルのような足取りで風呂場に向かった。

「汚れ物は風呂場でシャワーを浴びながら洗ってしまおう…」

シャワー室内の前方の中棚に設置している籠に着ていたTシャツやジーパンを
ぽいぽいと脱ぎ捨てると、鈴果はその場で頭からぬるめの
シャワーを浴びた。

(これ位の刺激なら大丈夫やろ……)

顔に滴ったぬるい水滴を両手で拭いながら、鈴果は密かに嘆息した。

彼女の最も苦手とする、心情主義の根強いタイプの
「ナイーブの母」でも憑依しているような性格の花梨の手前、ああは言ったものの、
今まで友人の前でコンパクトで…低燃費な上に丈夫なことが取り得と、冗談めかして自慢していた自分の身に起きた異変に、
一抹の不安は払拭できなかった。

(何かのバチでも当たったのか…って別に思い当たることはあらへん……)

ただ…人の心は表面からは解らない。知らない間に誰かの恨みや妬みの対象に
されることだって、全く有り得ない事ではない。

(そういえば以前、高校のクラス内で自分の体型の悪口を言った言わないで揉めたことが
あったっけ?原因も、その相手の女子の名前も覚えてへんけど……)

「言うわけないやろ、体型コンプレックスなんてそれでカラカイタイアホの
思う壺やで…の一言で火に油を注いだみたいで一学期中、延々と揉めたんだっけ?」

「しまいに『あなたの心は怨念ドロドロ』よ、とか言い出して、はいはいあんたは超能力者やな、
偉いんやな…って言ったら泣き出されて参った」

ナイーブで、それ故に思い込みが激しい人間とやりあったら、非論理的で奇天烈な詭弁に晒されて、
ただこちらが消耗するだけ……彼女の『心情系』への苦手意識は、過去の経験からの回避行動でもあった。

(メンドクサイ………)

ただ表層的な付き合いで事足りる手合いなら、狭い世間で固まりがちな学校を出た今では、
深く追求する程でもなかったのだが……。

「…とも実」

シャワーの詮を閉めた後、鈴果はバスタブに張った軟質のお湯にグリーンに染まる
温泉の素を一袋分入れて片手でかき混ぜながら、言うとはなしに
智実の名前を呟いた。

(あかんな…この時期になると、どうしても思い出してしまう)

先程、うっかり寝てしまった玄関手前のフローリングで、直前に思い起こしていたのも
それだった。

(だからって一晩中、感傷に浸っててもしゃーないやろ…もう寝よう)

いつの間にかフヤケそうになった指先を人差し指と親指で擦りあわせて、
鈴果は柔らかな湯船から抜け出した。

(もしかして、ジブンはすごく冷たい人間なんやろか……)

バスルーム内の洗面台に設置されているガラスの湯気で曇った表面を
ふやけたままの指先でシュッと左から右に線を描きながら、
鈴果は口をへの字に曲げたまま、曇ったガラスをじっと凝視した。

(でも性格のことだけ言うならば………彼女には負けるで)

『ほんとに知美は極悪非道、言語道断、酒池肉林、仰天同地、
天上天下唯我独尊、焼肉定食、セクハラ三昧、頭脳明晰、
最強最悪の極楽女子やった……ついでにモデル顔。』

今もって、自殺したなんてとても信じられへん。

濡れた頭をタオルで巻いてバスタオルのままバスルームから出てくると、
丁度奥の部屋から呼び出し音が掛かった。

「なんや、また……」

『もしもし、ワタシ花梨ちゃん』

「あっ、花梨か今日はおおきにな、もうそれ飽きたわ」

『…と、…してる?』

「ん?なんや、ちょっ待って電波の入りが悪いから、もういっぺん」

鈴果は机の前から、キッチンに移動すると、右手で携帯を耳に当て直して
片方の耳を手で塞いだ。

『ちゃんと玄関の戸締りしてる?ドアはチェーンを掛けた方がいいよ』

「なんや、そんなことぐらいで深夜に電話掛けて来なくてもいーわ、それより
そっちは無事に自宅に着いたんか?」

『…鈴果ちゃん、いっつも忘れ………』

「もしもし?…あっ、切れた」

中途半端なところで切れた電話の電源を切ると、鈴果はそっと
机の上に置いた。

「あっ、風呂の詮を抜くのを忘れてた」

頭に巻いたタオルを外すと青いキャミソールに薄手のショーツ1枚の姿で、
鈴果はトテトテとバスルームに向かった。

「放っておくと一晩でカビが生えるんや、えいっ」

その場に屈み込んで湯船の詮をポンと抜くと、鈴果はそのままの勢いで立ち上がった。

「一回でお湯捨てるの、なんか勿体ないなぁー、洗濯以外で…温泉の素では
飲用は無理か」

詮の抜かれたバスタブから緑色の液体が徐々に流れ出るのを眺めながら、
鈴果は独り言を呟いた。

(そう言えば玄関のチェーンキーは時々、掛けてなかったっけ変なところは
良く見てるよな、アイツ………)

ゴボゴボと音を立てながら流れ出る緑の液体が全てバスタブの配水管に
飲み込まれて行くのを、ぼんやり眺めながら鈴果はイトコの観察眼の
細かさに舌を巻いた。

その時、静かなバスルームの背後から着信音が聞こえた。

「……またか」

鈴果は軽く舌打ちして、バスタブの前で屈むと背後の音を無視した。

(もう2時だし、鈴果は寝てるんや。出なくても恨まんといてや)

数コールの後に音は静かに鳴り止んだ。

「世話焼きも、度が過ぎたら虐待になるんやで将来の自分の子にはやめといた方が
いいと思うけどな…花梨」

誰に聞かせるでもなく一人でごちながら鈴果はある違和感に気がついた。

(あれ……携帯のスイッチもう切りっ………)

その時、立ち上がりかけた鈴果の後頭部に唐突に鈍い鈍痛が広がった。

(っ………!!)

そのまま視界が暗転すると鈴果はマネキンが倒れこむように、ゆっくりと
空のバスタブに頭から突っ込んだ。

(………………………)。

遠くでパトカーのサイレンの音が聞こえた、ついで救急車がその後ろから
追い駆けるようにドップラー効果で徐々に近付いて来た。

『だから………恨まんといてや。』


(※続きを読む から中につづく)
------------------------------------------------------------------------------------

東の空が徐々に白みを帯びてきた。
2学年目を迎えて直ぐに一人のクラスメートとのイザコザに巻き込まれた鈴果は、
げんなりした心中を抑えながら、その日も学校に向かって、
黒いカバンを大きく振りながら、もう目と鼻の先に見えている校門を目指した。

その足が校門脇まで来た時にぴたりと一瞬止まった。

「ん…?パトカー?」

見ると校門の横手に広がる分厚い柵の右角に、一台のパトカーが
停車していた。背後には警官が2人程、なにやら現場検証をしている
様子だった。

(事件?事故かな…そういえばさっき救急車が通った……)

鈴果と同じく遠巻きに警官たちの様子を怪訝そうに伺いながら、他の
生徒たちが校門を潜って行った。

「あれ、黄色いテープ張ってるぞ、事件か?」

「まだ犯人はこの近くに居るかもしれねーぞ」

「聞いたぜ、なんか近くでホームレス狩りが2件程あったんだってよ」

「なんだ、ホームレスか」

「………。」

数十秒程、その場に立ち尽くしていた鈴果は、通りすがりの男子生徒の
会話を聞くと、興味が失せた様にそのまま校内へ立ち去った。

(今年はなんか春先から変な年やな、どこかの神社でお祓いでもしてくるか……)

なんとなく、教室に向かう足が重くなって、鈴果はカバンを持ったまま
遠回りに校舎の端をぐるっと廻った。

「不愉快やな……」

重いカバンを持ち歩くのが面倒になった鈴果は花壇のレンガに
ポンと放り出すと中庭から青空を見上げた。

(天気は良くても歪な関係性や枠組みはある…見たくないヤツは井の中から
無理して見ることはないもんや……
もともとそんなヤツは受け止める度量もないから期待もしない。)

誰もそれで恨んだりしないだろう、冷たいようだが無関心は情報過多な時代では
ある程度は必要だとは思う。

「少なくとも当事者以外は………」

空を見上げて朝の空気を吸い込むと、鈴果は再び嵩張るカバンを持ち上げた。

「………?」

その時、彼女は目の端に何かの違和感を感じて中庭の端までぐるっと見渡した。

「………」

違和感の正体は直ぐに分かった。

(あれは…同じクラスのえーと、確かカイドウ…海棠…下の名前忘れた。と、一組のモテ男……)

二人は何やら校舎裏で仲睦ましそうに話し込んでいる最中だった。
男子の方が海棠の腰の辺りに手を回して彼女に顔を近づけた時、
鈴果は二人に気付かれない様にその場から立ち去ろうとした。

「…あっ」

その時、ふいに顔を横に逸らしたと海棠と目が遇った。

「………」

「…………ぅ」

デバ亀しようとした訳でもないのに、一瞬気まずい空気が流れた後、鈴果はなるべく
平静を装ってその場を足早に立ち去った。

「ああ、びっくりした」

教室内に逃げこんだ鈴果は花壇で汚れたカバンの端を軽くふき取ると、机の横に置いた。

(目があった瞬間、笑ってたでアイツ……)

なまじモデルのような整った顔付きの為、口の端を上げて、ニヤリとされた瞬間、
総毛立った。


(しかし、とても同じ人類とは思えへんな……海棠は長身だし手足長いし、
小顔だし……て、あの笑いはなんや……?)

「あっ、また鈴果来た、恐い……あの人、女子なのに粗暴だもん」

(…出たなナイーブ畑でコンニチワ。今日は厄日や………明日から塩、塩持ってこよう)

なるべく固定の席から身を離そうとして鈴果は背後から来た誰かと軽くぶつかった。

「あっ、ごめん………」

「お早う、緑川さん」

頭一つ分違う誰かを、ぶつかった時の姿勢のまま見上げて、鈴果は再び全身の毛が逆立った。

「あっ、おは…よう……」

海棠智実は、鈴果の両肩に手を置くと軽く体勢を立て直した。

「あっ、それじゃ…席に戻る」

蛇に睨まれたカエルのようにオタオタとしながら鈴果は教室の机を指差した。

「怪我はなかった?」

「あれぐらいである訳ない……」

妙な会話の流れで顔を見上げた鈴果は3度石化した。

魅入られた……とでも言うのか、自然な笑みを浮かべているだけに見えた
海棠の穏やかな顔から何故か視線を外せなかった。さっきの中庭の笑顔は
少なくとも照れ隠しや、その類ではないことだけは読み取れた。

「ねえ、緑川さん……」

「なに…なんや」

何故か、少しずつ体温が上昇して、動悸が高鳴ってくるのを感じながら、
鈴果は成すがままに、次の彼女の1手を待った。

「どこまで見てたの……?」

「………!」

この瞬間、他の事象なんか置き去りにしても、少なくともこの白い
無機質な校舎の内では彼女からは逃げ場がないことを、
鈴果は小柄なその身で感知した。

------------------------------------------------------------------------------------
                  『魂喰らい』第三闇に続く。。

------------------------------------------------------------------------------------

・まだまだ、今週も予定が混濁、混線、混迷気味なんで鳥の手も借りたいあっクチバシ貸してー
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://vincent.blog72.fc2.com/tb.php/427-c302cf09
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。