迷走、瞑想、競う、奇想。「生存」のタメの絵なのか、「絵」のタメの生存なのか。。。イラストレーターの「ロスジェネ時代」に奮闘(もうしない)イラストレーター!

2017/07 |  12345678910111213141516171819202122232425262728293031 | 2017/09

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です。(あれ、デジャブっ…た。今回も前置きで特に言及することはないです、ます。

ホラーだすよ。


※ 本作品はフィクションです、実在の人物・団体名とは一切関わりがありません。
また、作品を読むことで発生したいかなる現象にも一切関知いたしませんのでご了承ください。
(お祓い等はご自身の責任でお願いいたします。)
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『魂喰らい』第二闇。前編

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「これで最後のっ……………。」

鈴果はデスクの上に盛大にカエル皮のショルダーバッグの中身をぶちまけた。

「ん~………」

スーパーのレシートの切れ端やら、授業中にメモした意味不明な暗号文の
書かれた紙の切れ端を掻き分けて、彼女は目当ての金品類を探した。

「あっ…一円見っけた、これでトータルで180円とプラス12円やな……」

鈴果はにっこり微笑むとカバンの底の飴玉の裏にくっ付いてた1円玉を剥がすと小銭入れ放り込んだ。

「………これで、残り3日もつやろか」。

袋に引っ付いて取れなくなった飴を水道水で軽く洗って引き剥がすと、彼女は
ポーカーフェイスのまま、本日の昼ご飯の飴を口の中に放り込んだ。

ツーツーツーツーツー。

机の隅に置いていた携帯のバイブレーターの振動音が静かな室内に微かに響いた。

夕方のバイトに出るまで、布団も敷かずにフローリングの床で、タオルケットを背中に
敷いてショーツ一枚で転がって仮眠を取っていた鈴果はめんどくさそうに起き上がると携帯を手に取った。

「ふぁい…誰や」

『もしもし、わたし花梨ちゃん、今あなたのマンションの近くに来てるの』

(※続きを読むから中に続く)
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「っ…かりん」

先程まで、寝起きで半分寝ぼけ眼のまま、欠伸をしながら持っていた携帯に急に圧力が加わった。

「いま、来てるってどの辺りや?今から、バイトに出かけるんやで」

『もしもし、わたし花梨ちゃん、今あなたのマンションの前まで来てるの』

「ちょ、ちょっと待ってや、今もうマンションから出る途中だから、そのままそこに
居てくれへんと入れ違いで出て行ってしまうんや…」

携帯電話を耳に押し当てたまま、鈴果は押入れの収納ケースからジーパン取り出して
片足を突っ込むと、机の上のカバンの中身を適当に詰め込んで、這々の体で
部屋から飛び出した。

『わたし、花梨ちゃん、今あなたのマンションのエレベーターの前に居るの……』

「い~や、いやもうわかった、今から迎えに行くからもう携帯切るで」

(階段、階段から行くんや、エレベーターだと鉢合わせる)

4階の階段を一気に駆け下りながら、鈴果はそこではたと気がついて、歩を緩めた。

「いやちょっと待てよ…」

先程、マンションの入り口に待機しろと行ったばかりだから、どちらにしろエントランスで鉢合わせてしまうことになる。

「あかんて、駄目やないか鈴果、もし、シモシ~!」

鈴果は慌てて階段の踊り場で携帯を掛けなおすと、花梨に話しかけた。

「ごめん、今部屋が散らかってるの片付けてから出るから、そちらから
先にエレベーターでこっちまで来てや」

『わたし花梨ちゃん……』

「いや、もうメリーさんはええて……」

『今、階段の踊り場の……』

ぎょっとして鈴果は、恐る恐る階下を見下ろした。

「どこ、どこや階段の上から見えへんで…はったりかましてるやろ自分……」

『わたし花梨ちゃん、今階段の踊り場の、あなたの……』

「なあ~、花梨、今からバイトだから話は明日以降…」

階段から誰かが上がってくる気配が一向に感じられないのを数秒間確認して、
鈴果は階下に一歩足を踏み出した。

『今、階段の踊り場のあなたの真上から、アナタヲ見テイルノ………』

「ぎゃあああああああああああああああああああーーーーー!!」

階段の手すりの吹き抜け部分から髪をだらりと垂らして、
花梨がこちらを見下ろしていた。鈴果は、血の気の引いた顔で5階を見上げて絶叫した。

「はい、コレは叔母さんからの預かり物」

首に縄を掛けられる勢いで、自室に連れ戻された鈴果は、いとこの花梨から
不承不承白い包みを受け取った。

「中身は?味噌と米やな…まあ、貰っとくわ」

「つーか、あんたこの間も居留守使って出なかったでしょ?」

「たまたまコンビニに買い物に行ってただけやろ、それより今日はオカンがオプションで
ついて来てへんから安心したわ」

「叔母さん心配してたよ、学校やめるの反対してたしね」

「もう、その件は家族会議で結論が出たからえーやろ、花梨こそ、学校は
どうしたんや」

「鈴果ちゃんが部屋に美形の男を囲い込んでるって聞いたから午後はサボってデバ亀に」

花梨はクルンとした長い睫を瞬かせながら、にやりと笑った。

「違~うやろっ!あれは具合が悪い時に見た悪夢の話や、あんなこと本当に
ある訳がない……」

「だから、叔母さんも心配してるんじゃない。病院の検査の費用は高いんだから、
観念して一度家に戻ったら?」

「いや、でもあれから別になんともないし…それにこの部屋気に入ってるし……」

口の中でモゴモゴ言い出した鈴果の横で、呆れたように眉を顰めて花梨は
部屋の中を見渡した。

「でも此処、結構良い感じの部屋よね、私も大学を出たら、コレ位の部屋には
住んで見たいな~」

「家賃も特別に安いしな…」

時計を気にして立ち上がった鈴果はベランダに続く窓を見た。

「………」

「家賃幾ら?1DKでも、市内の中心街に近いから最低6~7万はするんじゃない?」

「いや、3万………」

「3万~?!なんで~、この辺土地代も高いのに、そんな格安、ありえへん!」

「それは幽霊が付いてるから安いんや……」

振り向いて鈴果は軽く笑った。

「あっ…やっぱり、なんかあると思った……でも、そんな変な感じには見えないけど…」

「まあ、それは冗談やで、本当は高校時代の友人の親がマンションのオーナーだから、
懇意で安くしてもらってるんや」

「へー、そんな裏技あるとはね…ってもしかして美形の幽霊男の正体は、案外
その友人のことじゃないの…?」

探りを入れるように半眼気味に鈴果を眺める花梨に、彼女は軽く一笑に付した。

「…なに言ってるんや……その友人は女子やで……」

「まあ、そういう事にしといてあげる、ここ数ヶ月、鈴果の行動が突拍子もないから、
皆やきもきしてるんだよ」

「だからー、違うって言ってるやろ!もう、これだから大阪人はおせっかい焼きやな」

「バリバリ大阪弁で言われてもな~、ほな頑張ってや!」

「ああ、もう良いから忙しい時に押しかけんといてや、オカンにも言っといて、それから
これは標準語!」

「かなり地域限定の標準語ね………」

花梨は軽く目を細めると、玄関に向かう途中で思い出したようにオーガニックの
トートバックから、封筒を取り出した。

「そうだ、これは私の母さんから、鈴果ちゃんに逃亡祝いのプレゼントだって」

「字が間違ってますけど、逃亡呪いやて。まあ、意味わからへんけど、おおきにって、
お礼は言っておくわ」

「ああ、封筒を逆さに持ったらええねん、祝いになるからって言ってたよ。それじゃまたね」

「…っ…う…我が親族ながら、色んな意味で恐ろしい親子やな…もう、しばらく忙しいからまた店の方に寄らせてもらうわ、またな」

花梨が退出して、玄関のドアの鍵を掛けた後、鈴果は軽く溜息を吐きながら封筒の包みを
探った。

「だから、パトロン出来たんと違う言うとるやろ……たまに小学生と間違えられてんやで」

数万円分の金券と一緒に入っていた手紙の文面を見て、鈴果は佇んだまま頬を引きつらせた。

(帰りに間違って悪い大人に誘拐されないように気をつけて行ってこよう……)

花梨が部屋に入ってきた時に、玄関の近くに放り投げてあったショルダーバッグを乱暴に
引っつかむと、鈴果はバイト先に向かうために、今度こそ普通に部屋を飛び出した。

「ただいま~……」

深夜の0時過ぎにバイト先からマンションに戻ってきた鈴果は、自室の扉の前に佇む人物を見て、思わず脱力した。

「あっ、お帰り~、晩御飯の余り物が出たから持ってきてあげたよ」

「今日、二人目の花梨ちゃんを見かけている。ドッペルゲンガーかも知れへん……」

「こんなところで都市伝説を呟かないでよ、帰り道が恐くなるでしょ」

「もう、当分来なくていいって言ってるやろ、なんやねんもう~」

「母さんが本当に一人か夜中に確認して来いって言ったから、私も便乗したのよ」

「絶対嘘やろ…携帯電話、取りにきたんやろ」

「あ~っ、今度はバレてたか、鈴果ちゃん変なところは感が良いもんね。はい
ご飯貢いだから携帯返して」

「携帯依存も程ほどにした方が言いと思うけどな、待って、中だから玄関の鍵開ける……」

「でもいいな~、お化けが憑いていてもこんなに安く借りられるならラッキーだよね」

「事故物件も2~3年程度で期間限定で安くするだけのところが多いから、確かにそうやな…」

「事故物件って?部屋のどこかが破損でもしてるの?」

「なんや知らないんやな、事故物件って言うのは、前の借主が事故や病気で急死したりした
部屋の事を指すんや」

「ああ、殺人事件なんかで一家惨殺された部屋とかの事?」

「さらっと恐ろしい例えを出さんといてや、通常は病死とかが多いらしいんだけど、
たまに…自殺や事件で死亡したりして空き室になった部屋もあるのは確かやな」

「じゃあ、この部屋は……」

「ここは事故物件やないっ……」

「ああ、そうだよね友達の部屋だから…じゃあ、此処にお弁当置いて置くね、お休み……」

花梨は小さなちゃぶ台風のテーブルに包みを置くと、表情を緩めて振り向いた。

「でも不思議だね」

「…何が?」

露骨に渋い表情を浮かべた小柄なイトコの様子に軽く苦笑しながら花梨は言葉を続けた。

「そういう出会いってさ、確立が低いから縁って不思議だなって思ったんだ」

「まあ、マンションのオーナーの娘だから珍しい職業でもないけどな…」

「お陰でぎりぎり生活出来てるじゃない」

クスリと微笑を浮かべた花梨に、鈴果は不服そうに口をへの字に曲げて、
すかさず反論した。

「それ以上、ヒトの生活にごっちゃごっちゃ口出したら、携帯のメールの中身をネット中に
暴露するで」

「ぎゃああーー、こら勝手に携帯の中身見たらアカンでしょ!!絶対、暴露厳禁だからな、
マジでやったら紀淡海峡から太平洋沖に流すぞ、てめぇ~!」

「いつもの素敵モデル・オーラが飛んで地が出てるで…やりませんから。もう、大人しく
帰ってや」

「ほんとだな、神ニ誓っテ皆にはバラスなよ鈴果~。それじゃ永遠におやすみ~」

肩までウェーブの掛かった柔らかそうな栗色の髪を揺らしながら、花梨は携帯を片手に軽やかに帰って行った。

「並のお化けより、イトコの人間性の方が恐いわ……」

フローリングの床にぺたんと座って、鈴果はスーパーで立ちっぱなしの足を
摩りながら、軽く目を閉じた。

『そういう出会いってさ、確立が低いから縁って不思議だなって思ったんだ』

(確立…か、どうしてなんやろな………)

ひんやりしたフローリングの床にそっと手を置いて、鈴果は高校時代の出来事に
思いを馳せた。

『死因は自殺』

高校時代に中の良かったクラスメートの突然の悲報は丁度今時分の真夏の暑い盛りに
降って湧いたように起きてしまった。

(此処ではない市内の別のマンションの12階から飛び降り自殺。
遺書らしきものは出てこなかったけど、現場に争った形跡も
ないことから警察の所見は自殺と断定されていた……)

閉じていた目を薄っすらと開くと、鈴果は電気の点いていない隣の部屋をぼんやり
眺めた。

(けど、直前まで元気に学校に登校してたんやで、なんでか未だに判らへん……)

高校生の自殺率は年間の自殺リストの中でもそれ程高くはない。
それも、特に家庭の事情も学校での素行でもトラブルのなさそうだった彼女が、
突然飛び降り自殺をした原因が、鈴果にはどうしても思い当たらなかった。

(死神にでも憑かれたんやろか…だとしたら)

そのまま深呼吸をするように鼻から息を吸い込んで口から静かに吐くと、
鈴果は被りを振った。

毎年、この時期になると否が応でもそのことを思い出してしまう。

(ここは、事故物件やないんや……智実は……)


この部屋では、死んでいない。


かつての親友の生活していた部屋の中で、ほんの数年前まで、
自分自身が招かれて遊びに来たこともあるこの部屋で、鈴果は今、
夏の夜の出来事に思いを馳せ続けていた。

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『魂喰らい』第二闇。後編に続く………。
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・ぬぅ~ん。今回の第二話は前後編になってます。
続きは『超…就職氷河期物語。『KITIKU・SOHO師90』』を一回挟んでからですね;;忙しいのにまたまたやること
ふやしちゃってるよ。流石ホラーだ、つい余計に筆が進むさあ、このまま夏の暑さと湿度の高さでふやけない内に続きを書こう。

しかし、まだまだ暑いですね、引越し当日までには涼しくな~れ
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