迷走、瞑想、競う、奇想。「生存」のタメの絵なのか、「絵」のタメの生存なのか。。。イラストレーターの「ロスジェネ時代」に奮闘(もうしない)イラストレーター!

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です!

では本編はこちらから~。(今日は予定がずれ込んでるから前置きが早っ


追記:7月17日 
後半の部分を僅かに加筆。

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超…就職氷河期物語。『KITIKU・SOHO師90』(21)

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秋の早朝、澄んで晴れ渡った空の下で校庭のイチョウ並木は黄金色の葉っぱを冬支度の為に
ハラハラと落とし始めていた。まだ泥に塗れていない落ちたばかりの金色の葉は
子どもらの駆け抜けていく横でフワリと一回小さく重力に逆らって、再び天然の
絨毯の一部となって静かに横たわった。

地元の小学校に通う小学4年生のXTXは、いつもの通りの時間にいつもよりは、ほんの少し身軽な格好で校門を潜った。今日は母校の小学校で文化祭の小学生版の様な、お祭りの一日だった。かさ張るランドセルを背負わなくて良いのが嬉しくて、Xはスキップするような勢いで教室に向かった。

「おはよう」 

クラスメートの中でも比較的好意的な女子が、Xに声を掛けてきた。

XTXは黙って頷くと自分の席に座った。校内では無口であることを決め込んでいたXにとって、これはいつも通りの行為だった。声を掛けた女子生徒も毎度のことなので、特に気には止めていなかった。

他の子とは少しだけ態度が違うことが目障りで、XTXに嫌味や嫌がらせをしてくる生徒たちも、今日はお祭りなので浮き足立って、Xなどには目もくれずにおおはしゃぎしていた。男子と女子で、不自然な程にきっちり分けた制服やランドセルの色や、細々とした校則の中での窮屈な学校生活の一年間の内で、一番ほっと出来る日に、いつもは無駄に気を張って強張った表情を緩めて、手元の数枚の手のひらサイズのチケットをみた。

(どこから回ろうかな)

それぞれのクラブ活動内や教室で生徒たちが工夫を凝らして作り上げた展示物の中でも、
特に人気のある料理クラブなどは、お菓子が貰えるので倍率が高く、クジ引きやジャンケンで
皆がチケットを奪い合うほどだった。

そして、今自分の掌にはその数少ないチケットが握られている。
教室内では一人で過ごすことの多かったXTXは今日ばかりは、
ご褒美を貰っている気分だった。

しかし、折角の上がり気味のテンションは数分後の朝のホームルームで少しばかり、水を差された気分になった。クラスの明るい学級委員長の男子生徒が、生徒会からの連絡事項を読み上げた。

「えーと、一部のチケットの場所が変更になりました、料理クラブはお菓子の数が足りないので、お化け屋敷になります。よろしくお願いしまーす!」

「…………………。」

理不尽な決定に文句を言うこともなく、XTXを含めた数人のクラスメートは、
シブシブ、手元のチケット名を変更した。子どもたちはいつでも、どこかから
降って湧いてくる「決定」に素直だった。

荒れている子、風変わりな子、爪弾き者は居たものの、
誰一人として表立って逆らう者はいなかった。

(お化け屋敷、ぜんっぜん行きたくない………)

子どもらは、とても素直だった。

(続きを読む に続く)

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(まあ、いいかそれ程クッキーが食べたかった訳でもないし……)

とりあえず、お祭りの一日は始まったばかり。展示室は生徒のひしめくマンモス校の
校内にたくさんあったので、退屈することはない。突然の変更にも、
たいして気に止めずにXTXは壁の案内張り紙を見た後、一人で校内を探索し始めた。

「えっと、他にも場所変更したチケットがあった……」

直前で変更するなんて、随分いい加減だな…と本音では思いながらも、折角だから行ってみようと気を取り直して、Xは先ず教室から近い占いクラブに向かった。

通路の右端の扉を開くと、受付の前に手元に引いたばかりのおみくじの結果を見ながら、はしゃいでいる4~5人の女子生徒がたむろしていた。

受付で名前を書いてチケットを渡すと、Xは数人列を成しているおみくじの順番を待った。
自分の一人前の小柄な男子生徒が、クラブの先輩男子の差し出すおみくじの箱に
手を突っ込んで、一枚の紙切れを引き抜くと、徐にXTXの眼前で、がっかりしたように声を
上げた。

「うわ~凶だ~~!」

ふ~ん…と、特に目前の気の毒な結果には感慨もなく彼の横をすり抜けて、
Xは黙って箱に手を入れた。手に触った紙を適当に引き抜くと係の生徒の前でそっと開いた。

「あっ……」

「おっ大吉ですね、おめでとう~!」

開いた紙切れに、でかでかと書かれた「大吉」の文字に自然に笑みを零すと、
XTXは虫眼鏡で真剣な顔でXの掌を見る男子生徒の良くわからない手相占いを受けた後、
意気揚々と展示部屋を後にした。

「大吉……」

シンプルにそれだけしか書かれていなくても、なんとなく一番良い結果が出ると嬉しい。
おみくじの紙切れを大事にポケットにしまうと、XTXは次の展示室に向かった。

(お化け屋敷…か)

元、料理クラブと書かれたチケットを受付で渡すと、XTXはどうでも良い気分を抑えて
窓際に黒い画用紙とカーテンで、一応暗くなっている教室に並んでいる大勢の生徒たちと
一緒に中に入った。

迷路の形に置かれた机を下級生たちが悲鳴を上げながらぞろぞろと歩く中を、一人
冷静にXTXは見回した。

(…う~ん…恐く…ない………)

どうにも、如何にも作り物と判っている所に入っても恐さをちっとも感じない。
周りの生徒が何故そんなに素直に恐がれるのか不思議に思いながらも、
上級生がお化けの仮装をして驚かしてくるのを、お義理で恐がるフリをして、コンニャクを
首筋に当てられる生徒の悲鳴を真似て少しだけ驚いた声を出すと、XTXはささっと
教室内を一周して、お化け屋敷を後にした。

いつもの教室内のギスギスした息苦しさに比べたら、Xには
上級生の稚拙なお化け屋敷も牧歌的な光景に思えてならなかった。

一、二年生の頃の男子生徒二人から殴る蹴るなどの身体への暴行を中心に、
クラスの大半からの激しいイジメに比べたら、今のクラスはマシな方だった。

他の生徒から浮く程、無口で大人しくしていたと言うただそれだけの理由で、
イジメのターゲットにされていた日々に、それでも登校拒否にならずにXTXは
律儀に登校し続けていた。

そんな理由も一つ、もう一つは………。
自分の性別への色分けへの違和感…クラスの他の生徒は
誰も気にしていないようなことが、自分には早くから一々、抑圧的で不条理に
思えてならなかった。だから…校内では「沈黙」しなければいけないと、
XTXは頑なに思っていた。

そうしなければ、自分の中の何かが奪い取られて、
壊されるような気がしてならなかった。
その直感はある程度は当たっていた。管理社会の旗印の下、
高度成長期の戦場へと送り出すために、
教室は理不尽な抑圧で溢れていた。

「右向け~右!」

「左向け~左!」

「前へ倣え!!」

男子と女子に右と左にきっちり分け、身長の低い方から高い
順に並ぶ朝の朝礼での「軍隊式」の号令は、
象徴的な時代の教育光景だった。

この抑圧の苛々から逃れるために
一部の子どもらは他の子どもを苛めることに
よって発散しようとしていた。

そのターゲットに毎回されても、それでも校内では一人で沈黙を続けると言うことをXは
止めなかった。それが果たして良い方法だったかどうかという
事は置いておくとしても、それだけが幼いXTXに出来る唯一の知性での抵抗だった。

その分、校外では、はっちゃけすぎるぐらい明るく過ごしていた。

それでも、そんなやり方には時々疲れてしまうから、校内ではなるべく教室の皆から目に付かない所へ一人で、一人で行ってしまう癖が身についていた。

「えっと…次はどこに行こうかな」

今日は既にチケットの要らない一般教室の展示室を含めても、結構見て回った。
固定の展示室の券を先に使い切ったXTXは、残り2枚の自由券を眺めて、広い校内の
校舎から校舎を繋ぐ2階の渡り廊下を一人で、てくてくと散策していた。

ふと、白い渡り廊下の途中で、XTXは立ち止まった。
まだ日が沈むには1~2時間程間があったが、秋の穏やかな気候の中で、中庭の
紅葉が艶やかに紅く目に映えて見えた。日頃、校内では感情を抑えている分、
表情も自然に綻んでいた。

とても、孤独で静かな時間が流れた。

夕日の下でもう一度見たら、もっと綺麗に見えるんだろうな…とXはどこまでものんびりと
目に映る光景を楽しんだ。絵を描くことはとても好きで友達に褒められたり、校内スケッチの大会で入選したこともあったけれど、この時のXはまだ将来絵描きを目指すとは思っていなかった。それでもスケッチをしたくなるような穏やかな景色だった。

「あっXTXさん、いたいた!」

「……?」

ぼんやり眺めているのも飽きたので、そろそろどこかの展示室に移動しようと
歩き出したXTXの背後から、元気な声が飛んできた。

振り向くと、1~3年の頃、同じクラスだった聡子さんが、息せき切って駆けつけてきた。
彼女は始めXTXが1年~2年の持ち上がりの教室内でのイジメを傍観していただけだったのだが、
学年が変わり、クラスの生徒が入れ替わってからは見ているだけだったことを本気で悔やんで、直接、XTXに詫びに来た唯一の生徒だった。

そしてXTXは特に拒むことなく、そんな聡子を受け入れていた。

それ以来、聡子はXTXから付かず離れず、何かことあるごとに、まるで影武者のように
こうして駆けつけてきた。

「まだ自由券残ってる?」

「………っ」

無言で頷くと、聡子はXTXの腕を素早く掴んだ。

「もう3時だよ、展示室が終わってしまうから今すぐ行こう!」

「えっ…???」

どこに行くのか場所も告げずに、聡子はXTXの手を掴んだまま、再び元来た方角に
走り出した。

(いったいどこに行くの??)

二人で手を繋いで全力疾走した先はカメラ同好会の部室だった。

「あのね、私のお兄ちゃんがここのクラブなんだよ、だから一緒に写真を撮ろう」

「………。」

唐突すぎる展開に、まだ、きょとんとしたままの、あどけない顔のXの横で色白の聡子はにっこりと笑って二つ並んだ椅子の一つに腰掛けた。

彼女はXTXと違って与えられた環境に特に大きな違和はなさそうだった。
時折、何故いつも彼女は自分の側に来るのか、Xには不思議に思うところもあった。
そのまま黙ってみないフリをしていれば、わざわざリスクの大きそうな
校内のはぐれものの側に寄って来なくてもやり過ごせるぐらいには順応出来ている筈なのに。

後日、彼女がXTXの教室にすまなさそうに現れた。

「この間の写真なんだけどね、受付で名前を書いてないから貰えないんだってごめんね」

普段は物静かで聡明な彼女のたまに突飛すぎるぐらいのバイタリティー溢れる、
行動力にはさしものXも驚かされっぱなしだった。

「でもさ、名前ぐらい本当はいいよね別に、本人だってことは顔見ればわかるのに」

そして、いつの間にかそんな彼女のことを心から親友として愛しく思う自分の想いがそこにあった………。

電車の中でXTXは軽く閉じていた目を開けた。終電の電車内は、いつもより静かで酔っ払いの姿も控えめだった。

(なんで今、このタイミングで彼女のことを思い出したんだろう……)

中学校を卒業を機に彼女とはいつの間にか疎遠になってしまった。
高校を出て県外で新しい生活を始めてからは、中学までのことは特に
思い出すことも少なくなっていた。

(後、一週間で此処から逆戻りか………)

もう、実家には連絡を済ませてある。そして、
明日は神戸で最後の悪あがきに、就職活動を行う予定だ。

特に危なそうな人物も回りにいなかったので、Xは電車の中で到着駅まで
もう一度目を閉じた。

(北さんに、この間の電車賃の借りを返しておかないと……)

電車が振動を震わせながら、目的の駅名を告げた。

(もう直ぐGWも近いから、もし帰るのならなるべく混雑する前に引越しを完了させよう…。)

扉が開くと同時にさっとXTXは構内に降り立った。

それから、いつものマンションの自室の前で迎えてくれたのは、紅いモミジではなく、深紅の重たい扉だった。

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            超…就職氷河期物語。『KITIKU・SOHO師90』次回に続く………。

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・はい、今回本当に時間がなくて誤字脱字、勘違い語句チェックは行えておりません、
アップ直前に書いた、出来立てのほやほや文章です~。順番的には果汁グミ篇ををそろそろ
挟もうかと思っていたのですが今週は、書き手が疲れすぎていて、幸せパートは次回に持ち越しです。;

今回のエピソードの元ネタはご存知の方はご存知と思いますが、某所でコラム連載時に既に暴露済みの実話です。
同エピソードをXTXで辿るとこんな感じになります…ね、と言うことでまだまだ連載は続きます。

もう、個展の準備やら引越しやらバイト往復やらで時間が、かぶりかぶりですが、今後もがんばろうと思います。
何故って勿論、好きですから…ね。こういう主人公たちも。こういう創作も。きらいなことは苦労してまでやりませんよ~w自分は残念ながらどMではないので~す。
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