迷走、瞑想、競う、奇想。「生存」のタメの絵なのか、「絵」のタメの生存なのか。。。イラストレーターの「ロスジェネ時代」に奮闘(もうしない)イラストレーター!

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灼熱だったり、大雨だったり、毎日日替わりで温度差スゲ~の流石、世界恐慌の真っ只中
だーーーーー

と、やけくっそい前置きですが、今週もなんとか、かんとか無事に

超…就職氷河期物語。『KITIKU・SOHO師90』(総集編タイトル『ロスジェネ・90』ノベルをアップいたします~。
しかし、なんだかんだありましたが、もう連載開始から20回目ですよ
おお、お絵描き以外は、飽きっぽいところがあるのによくぞ続いた

この調子でアレ、あれ、あれも。。。予定を全~部こなしたいところですが、すいませんマイペースになります。
でも、今後もコツコツ続けていきたいです。

とにもかくにも記念すべき、連載20回目ですーー

総集編もやっと先程、年末年始バイト篇までうPーしました。
総集編のアドレスはこちら

http://novel.fc2.com/novel.php?mode=ttl&uid=643232

併せてお楽しみください。いや、殆ど自分が楽しんでまーす。

・では今回は『XTX,俊一・クロスオーバー』篇の……何回目だっけ(またか

やーメデタイ…


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超…就職氷河期物語。『KITIKU・SOHO師90』(20)
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「お邪魔しまーす」

「ん……」

玄関で脱いだ靴の向きを並び返すと、哲矢はいそいそと居間に
上がりこんだ。

「で、用事って?」

「いやそれがさ……」

ぽりぽりと前髪の辺りをかきながら哲矢は締まりなく笑みを零した。

「お前んちでゲームやらして」

「……は」

「……」

「ちょ…今、熱の所為で耳の調子が悪い……俺の聞き違いか…?」

思わず我が耳を疑って聞き返すと、哲矢は先程と同じ調子で繰り返した。

「いや、いやそれがさ、ついにゲームは一日15分令が下ってしまったんだよ俺んち!」

「知るかよ……っゲホゲホ」

語尾に力を込めて言い返そうとして俊一は廊下の真ん中で咳き込んだ。

「あっ、ほらほら病人はちゃんと寝てた方が良いって」

「帰れ…俺はもう寝る」

「え~30分でいいからさ、山っちの居間を貸してくれよ、残りラスボス戦
だけだからスッキリしたいんだよ、頼むっ!」

「お前な…勉強っ…ゲホゲホっ、べ…っ」

「何言ってるのかワカラネーけど、頼むよ、その代わり後で良い事
教えるからさ」

顔の前で両手を合わされて、俊一は不承不承頷いた。

「俺は2階で寝てるからな、勝手にやって勝手に帰れ、お袋が帰宅しても
フォローしねーぞっ」

「あ~いっ、ありがとっ山っち愛してる~」

「…よくなったら覚えてろよ」

2階の階段をフラフラした足取りで歩きながら俊一は捨て台詞を吐いた。

「あっ、足元にお気をつけて~!」

その背後から哲矢が極楽トンボそうに声を掛けてきた。

「なんなんだよ……ったくよっ」

ベッドに向かって重力に負けた人形のように重たい体を正面から
ダイブして沈めると、俊一は一人、毒気づいた。

「あっしまった…氷のうの換わりを冷蔵庫から持ってくるのを忘れた」

荒い呼吸を吐きながら仰向けに寝そべって、俊一は天井の幾何学模様を
眺めながら、熱の所為で潤んだ目をゆっくりと閉じた。

「下に居る哲矢に頼む気力もない……もういい、寝てやるっ」

階下の哲矢は今、この瞬間にも呑気そうな面をしてゲームをしていると
思うと、情けなくて胃の中までムカムカしてきた。

「ほんとに何しに来たんだアイツは……」

薄暗くなった部屋の中で電気を点けずに目を閉じたまま、俊一は長い息を吐いた。

(所詮、人間生まれる時も死ぬ時も独りなんだな………)


(………熱い…此処は…砂漠だ……俺は今、ラクダに乗ってる…一面砂漠だ……
ベッドじゃない…砂漠の上だ……ドライな砂漠…………。)

睡魔と熱で意識が混濁しかかって山下清のような口調で呟くと、
彼はなんとか体を楽にしようと大きく寝返りを打った。

(っ…なあ、砂漠は暑いじゃないんだぞ…熱いだ、鉄板の上なんだ。わかるか?
人間の身体が砂漠になるんだ、ドライなんだ……人間の砂漠なんだぞ、
解るか?…なあ…………………哲矢っ……っ?)

熱にうなされながらも、俊一は心の中で呼びかける語尾を強めた。


(※続きを読む から中に続く。)

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電車の音が耳の横を掠めた。
地下鉄から地上の乗り換え電光案内板を見上げて、XTXは手元の手帳と即座に見比べた。

「路線はこれであってるよね……」

手持ちの軍資金はなんだかんだであっという間に消えていった。僅かな財布の中身から
神戸行きのキップ代を捻出すると、XTXは腹を括って神戸の中心街に下車した。

「………」

そこから直ぐに、雑多な大阪と比べて街並みのカラーが違うことにほんの少し
気後れを感じながらも、XTXは深呼吸を一つして街中に繰り出した。

(帰りの電車賃、ギリギリだな……無駄遣いをしないように持ち込みに行こう)

それでも全く見知らぬ新しい場所で、八百八橋の大阪とは違う港町の空気に何か
新しい出会いを期待して、Xは勇んで予約した出版社に向かった。

「ただいま」

夕刻のひんやりした風を頬に受けながら、学校から帰宅したばかりの
北方は自宅の扉を合鍵で開けてリビングに向かった。

「電話…?」

薄暗くなり始めた部屋の中の電気を点けて、北方は急いでリビングの机の端に置かれた
緑色の電話の受話器を持ち上げた。

「はい、北方です。はい、はい…私ですが…」

『あっ、良かった~北さんだ~』

電話の向こうの主は少しばかり忘れかけていた突っ込みを北方に思い出させた。

「なんだ、あんたか…誰かと思った」

『ああ、電話…県外だから、もう、もう切れる!ごめん
北さんコレクトコールで掛け直していい?』

「なに言ってっ……」

返事を待たずに回線はぷつりと切れた。

「…~なんなんだ、こいつは……」

相変わらずと言うべきか強引な展開に呆れ帰りながら、仕方なく北方は一旦受話器を置いた。
数秒後、程無くして電話が再び鳴り出した。

「はい、北方です…はい、いいですよどうぞ……」

『あっ、もしもしさっきはごめんね、あのXTXだけど、今、神戸なんだ』

「旅行ですか…そりゃ良かったね、それで一体なんなん?」

『仕事の為だよ…北さん冷たい…と言うか言葉に棘があるから切り出しにくいんだけど……』

「迷子にでもなったんか?」

帰った早々に妙なトラブルに巻き込まれた気配に、ふう、と受話器を外して
息を吐くと北方はこの奇天烈な人物の次の一言を待った。

『いや、今帰りで神戸の駅前なんだけど…その、財布を落としたらしくて……』

「それで?」

嫌な予感が的中して、北方は半眼気味になりながら受話器を握り直した。

『このままじゃ野宿になってしまうから、迎えに来て欲しい……電車賃は後で全額返すから』

「今から~?もう6時だけど、神戸に?」

『本当、ごめん!だけど北さんぐらいしか今、頼める人が居なくてさ……』

「ほんっっとに来いと言ってるんだな…?」

北方は部屋の飾り棚の上に置かれたアンティークな置時計に目をやった。

『うん…やっぱり駄目か……』

「わかった、本当に困ってるんだったらしゃーないわ、で、どこの駅?」

『えっ、本当っ?ありがとう恩に着ます!』

「高くつくぞ~、じゃなっ」

『うん、もう歩き疲れてへとへとだから駅の構内で待ってる……じゃあ』

受話器を下ろして北方は呆れたように一度目を伏せた。

「たく、ややこしーやつだな、世話の焼けるっ……」

自分の財布の中身を確認すると北方は台所のテーブルの上に書置きのメモを
残して、すぐさま玄関から外に飛び出した。

「ああ、情けない格好悪い……」

財布の中に残った数十円を数えなおしてXTXは駅の構内のベンチで肩を落とした。

(そもそも原因は帰りのバスを乗り間違えたことなんだけど……)

初めての神戸で回った先の営業が余り手ごたえがなかった事に業を煮やして、
電話ボックスで電話帳を繰って見つけた先に飛び込みで行ったまでは良いが、
帰りが不味かった。

(久しぶりの再会でこれだもんな…彼女も呆れてるだろうな……)

もう一度、カバンの中と財布の中身を確認すると、XTXは諦めたように、
カバンを膝に抱えたまま天井を見上げた。

(…もう資金が余りない…もう一度、明後日トライして駄目だったら………)

誰にも教わらないでたった独りで始めた「無謀」な営業活動は、手持ちの僅かな
お金をあっという間に飲み込んで、無残にも時間の終わりを告げていた。

(北さん来てくれるかな………)

待っている時間を持て余し気味にXは駅の構内を見渡した。

(…まだ帰りたくない………)

この場に成果を出せなかった悔しさと、強制的に嫌で仕方がない実家に引き戻される
嫌悪に心を痛めながら、XTXは目頭の奥が熱くなりそうになるのを堪えて、目元を
抑えた。

(ここで泣いたら駄目だ、鼻が垂れて大変なことになる……ポケットティッシュもうない…)

「お待たせ…久しぶりやなじぶん」

「あっ、本当に来た、北さんが来たっ!」

一つしかない駅の改札口を潜って北方が到着したのを確認すると、
XTXはカバンを両腕に抱えたまま、嬉しそうに立ち上がった。

「開口一番がそれかい、誰が北さんだっ、ほれ迎えに来てやったぞ」

「うん、ありがとう!後で必ず出世払いで返すからっ」

「たく、あんたと関わるとろくなことがない…」

「うん……」

「そこは普通、否定すべきじゃないんか…」

「営業で疲れてボケの気力が残ってない……」

「わかった、帰ろうか…」

受け取った電車賃でキップを買いながら、XTXは思いついたように、
背後の北方を顧みた。

「あっ、じゃあお礼に今からデート……」

「子ども電車に乗って帰ろうなっ」

「冗談なんだけど…そんなムキにならなくても……」

「それで用事は全部終わったんか?」

「えっ、ああ…そうだね大体……」

次の電車が来るまで5~6分程、駅のホームで待ちながら、二人は
久々の談笑を交わした。

「バスの乗り間違えか…まあ、たまにはあるな…電車の方が多いけど」

「いや、戻って来れないかと思った…弱り目に祟り目って感じでさ…」

「大袈裟やな」

「北さんが来てくれて本当に助かったよ…」

「確かにな、あの時間に家に居なかったらじぶん、どうするつもりだったんだ」

「このまま此処で野宿か…歩いて帰る」

「ヒッチハイクし・ろ」

「やったことがないな…北さんはある?」

「ないない…これからもやる気はないな」

「じゃ、今度一緒にやらない?」

「なんで、あんたと……」

「冷たいな…愛が薄い……」

「それが此処まで迎えに来てやった相手に言うセリフか……って大丈夫か?」

「えっ…?」

「顔が少し青い……」

カバンを持ち直していた顔を上げ、XTXは苦笑を浮かべた。

「あんまり食べずに朝から動き回っていたから、その所為だよ多分」

「そうか、あんまり無茶するなよ…」

「うん……」

ホームに入ってきた電車に気を取られた北方の横顔に、一瞬XTXは視線を合わせた。

「………」

「っ……?!」

軽く頬に触れた感触に驚いて北方が振り向くと、Xは顔を直ぐに離して、
開いた扉に滑り込んだ。

「……あんた」

「出世払いの前払いだから…早く帰ろう」

「………言っておくけどなんとも思ってないからな」

「うん、北さんならそう言うと思った」

「どうかしてるで……」

「今日は、そうかもね………」

「なんかあったのか…?」

「いや…特には……」

「ふう……」

電車の中で並んで席に座ったまま、北方は溜息を吐きながら
腕組みをして目を閉じた。

「あっ、電車賃は明日返すから、安心してね」

「当たり前や…てか私の方がどっぷり疲れた、着くまで寝るから
起こすなよ」

「それがいいよ」

「………」

開いた口が塞がらないとはこの事だろう、心の中で一人
ごちながら北方はやっかいな友人から一時避難するように、
そのまま大阪まで寝たふりを通した……。

「なあ、もう一度言うけど、此処は日本だからあんなんは無しだからな」

「わかってるよ、自分も日本人だってば、さっきは確かにどうかしてた」

梅田駅で別れ際に念を押す北方にXTXも同じ調子で真顔で眉を顰めた。

「本当に大丈夫か?」

「…色々あったから少し疲れていただけだよ、平気」

「難儀やな……」

「今日は大阪弁がよくでるね、珍しい」

「…あんたも私もやっかいやな……」

北方は諦めたように腕組みを解いた。

「あんたが今追いかけているものは……もしかしたら
一生届かないかも知れない、それでもいいんか?」

「…預言者みたいだね。」

XTXは北方の横で軽く苦笑した。

「いや、これから辛くなるだけだから忠告してるんだ」

「ありがとう、でも人生まだこれからだから…それに因果のわからない事は
鵜呑みしないことにしてる」

「やれやれ…頑固者やな」

一旦、言葉を切って北方は横を振り向いた。

「あんたは、頭が良いのかも知れないがちゃんと口に出して話さなきゃ
伝わるもんも、伝わらないと思うぞ」

「よく言われる、でも北さんと今度デートできるから平気…」

「じぶん、言ってることが滅茶苦茶やで、さよ~なら帰るわっ」

「む~盛大にフラレた、じゃあまた今度」

「本当はその気がないくせに…よく言うわ、もう2度目はないぞっ」

「疑り深いな~、でも出世払いは必ず返すからね」

「………」

XTXの軽口にも振り向かずに、北方はスタスタと足早に立ち去っていった。
その後姿を見送りながら、カバンを再び両手に抱えたままXTXは静かに目を伏せた。

(今、熱を帯びたまま、氷河の冷凍庫に放り込まれた様な気分だよ北さん……)

こんな状態は、まだ序の口に過ぎない……………。

「風邪治りましたか?」

いつもの教室で、哲矢はへらへらと笑いながら、回し読みをしていた漫画から
顔を上げた。

「しょーがないから治ったよ」

少し不貞腐れたように俊一はカバンを机の上に放り上げて、哲矢を軽く睨んだ。

「なにそれ?なに怒ってんの?」

「お見舞いに来てゲームやって帰ったやつに怒ってんだよ」

「あっ、ごめんでもあの後、山っちのママに挨拶してお菓子渡して
帰っただろ?」

「寝てたから知らんっ、しかし俺が風邪の時にゲームやって帰るお前も
結構恐いと思うぞ」

「この先、最低一年は受験一色だから最後の思い出作りだよ」

「他でやれよ、俺の穏やかな休みを返せ」

「穏やかなんてないでしょ」

「どう言う意味だよ?」

開いていた手元の漫画を閉じて、哲矢は俊一の顔を見た。

「だって俺ら灰色の受験生なんだぜ」

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超…就職氷河期物語。『KITIKU・SOHO師90』 隔週連載、次回に続く………。

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・日中はともかく夜間はまだまだ過ごし易いほうだけど、夏ばてしないように、
スタミナつけなきゃなー。総集編の『ロスジェネ・90』も次回の話から俊一篇に追いつきます、お楽しみに~(特に自分がw



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