迷走、瞑想、競う、奇想。「生存」のタメの絵なのか、「絵」のタメの生存なのか。。。イラストレーターの「ロスジェネ時代」に奮闘(もうしない)イラストレーター!

2017/05 |  123456789101112131415161718192021222324252627282930 | 2017/07

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
あ~つ~い~暑いね、今日の日中はもう夏だよ。

と、言うわけで既に今日から扇風機が出ております~。
今年は空梅雨なのかな。。。あんまり晴れた日が続いたら、夏が暑くなりすぎるから、
暑がり日本代表の身としては(?

テルテル坊主の逆の ルテルテ坊主を吊るしたくもなるけど、呪われたらイヤなのでやめよう。。。;

と、言うわけで今週のノベルをうpします。
俊一篇の…えっと何話目か後で数えなおそう。


-------------------------------------------------------------------------------------------------------
超…就職氷河期物語。『KITIKU・SOHO師90』(19)

--------------------------------------------------------------------------------------------------------

「じゃ、行ってくるわー!」

いつもの如く、顔から全身に流れるような朝の風を受けながら俊一は通学路を愛用のママチャリで飛ばした。

「今朝は冷えるな……」

昨晩が雨だった為か4月の半ばでも2月中旬のような
冷えた空気に少し身を屈めながらも、一向にスピードを緩めずに、俊一は
飽きるぐらい見慣れた通路を時間と競争するかのように急いで通り過ぎた。

(今朝はマスクが多い……花粉症か?風邪か?)

上手く信号に引っかかる回数を回避して、彼は擦れ違う通行人のマスクの数を
なんとなく数えた。


(※続きを読む へ続く)
-------------------------------------------------------------------

「おそはよー、今朝は寒いな自転車だと身に堪えるぜ」

「はよう、いーや今朝はいつもより信号に引っかかる回数が少ないから絶対早いぞ」

自転車置き場で丁度鉢合わせた哲矢と合流して、俊一はダルそうに教室に向かった。

「あれ?その割には俺と到着時刻が同じじゃん」

「ああ、途中からマスクを数えていたから
その分スピードが落ちたのかもな…」

「何それ」

ヘラヘラ笑いながら教室の扉をガラッと
開けた二人は見るとはなしに、教室内のマスクのグループに目をやった。

「確かに急に増えてるな…今年はなんだろ?」

「俺のオヤジも風邪のようだが、マスクもしないでゴホゴホしやがるから、
避難所が欲しいよ」

「おはよ、じゃ、俺んち来るか~?ご飯代は別だけど」

「ホテルか美女の家がいい~、お早う。」

「お前はどこのエロオヤジだよ、おはよー」

隣の席の長谷川に挨拶をして、俊一は再びマスクの話題に戻った。

「岩山もマスクしてるな…あいつがマスクをすると小さな布着れみたいに見える」

「しぃ~聞こえるだろ」

哲矢が気にして止めにかかったのをしばし無視して、
彼は暇つぶしに岩山の後姿を観察した。

「大丈夫、今は机でネンネしてる、それより海苔だ……」

「え…?」

「三角ムスビみたいな体系だから、
頭に海苔を乗っけたら白いマスクと丁度合いそうだな…」

「ははは…酷でぇや」

苦笑いを零しながらも寝ているのをいいことに、哲矢も天敵の岩山を遠巻きにからかった。

「そういえば、おまえん家、家庭教師が来てるんだって?」

会話が途切れてぼーっとしかかっていた俊一に、長谷川が話しかけてきた。

「おう、あんまり大きな声では言えないけどな」

「なんで?俺なんか受験用に塾に行け行けってうるせーから、家に来てくれる方が助かる
けどな」

「しっ、うるさい。声がでかいぞ、俺の秘密の特訓がばれるだろ」

「いいじゃん別に、俺も家で一人で勉強するの飽きてきたし」

「鉄っちー、ゲームボーイのソフト没収……」

「明日返すってば」

マイペースにヘラヘラ笑いながら、哲矢はふと真顔に戻って、俊一の顔を見た。

「そういえば、今度の水曜日にB組の小谷さんたちとカラオケに一緒に行くんだけどさ…」

「なに?!それはもしや、フジュンイセイ交友っ…うわっと…っ!」

「あんたはどこのPTAだよ、あほか」

哲矢に右手で顔半分を塞がれそうになったのを椅子に座ったまま仰け反りながら
ギリギリで避けて、瞬一は眉毛を顰めながら声のトーンをわざと落とした。

「アホとか言うな灰色の受験生には禁句だぞ気付け……
それで本当に行くのか?俺はその日は個人教師にみっちりと
愛の鞭を受けている最中に、お~ま~えだけ~~~」

「だってB組の益田が風邪で頭数で呼ばれてんだよ、今回は仕方がないよ」

「俺も風邪をひくから呼べ!」

「落ち着け~、逆だろ。だってお前んち家庭キョが
来る日だろ、仮病使うのか?」

「まさか長谷川、おまえもか?」

「俺は呼ばれてないけど、飛び入りOKなら行ってもいい…」

「みなさーん、此処にフジュンイセイ交友の悪の集まりがっ、うわやめろ」

「冗談やめろよ、ただの気晴らしの集まりに変な噂が立つだろが!たくっ、
大人しく仮病を使って家で勉強してろよな」

「マジで怒んなよ…世知辛いぜ、たくっ」

逆切れ気味の仕返しを後ろから手で押さえつけられる様に咎められたことを更に根に持って、
小学生のようにふてくされたまま俊一は机にわざと倒れこんだ。

「まあまあ、今度は一緒に行こうな」

「おまえらとだけじゃいつものパターンだろうが…」

「来年は春が来るさ」

「いっとくが、今は4月じゃ…」

「勉強時間って長いよね……」

「二人きりだと特にな…」

「そういえば、もう慣れた?」

「なにをっ」

めんどくさそうに起き上がりながら、俊一は教壇の横の時計に目をやった。

「家庭教師」
「ああ、まあ普通だな…」

自分に気を使って薄ら笑顔を浮かべた親友をうざったく思いながら、彼は素っ気無く
返事を返した。

「なんか、面白い話とかしないの?」

「たまにな……」

「それは良かった」

「……」

にっこり微笑む哲矢をチャイムの音と同時に見上げて、
おまえは俺の彼女か…と言いかけた俊一は流石に、それは傷つくだろうと、
ゆっくりと慎重に言葉を呑みこんだ。

「はいはいはい…それじゃ、次のページを捲って」

少し早口気味にまとめのノートを片手に教科書を指差すと、時折咳払い交じりに、
三河は俊一に次々と指示を送った。

「じゃあ、古典はもう大丈夫だね…」

「今回から生物も必須にしてるんすけど」

「じゃあ、っ…教科書…」
少し咳き込みながら、三河は渡された教科とノートを照合した。

「先生も風邪?」

「彼女からうつされたらしい…」

「彼女いるんですか?」

「一応いるよ」

意外そうに真顔で尋ねる俊一に照れたように眼鏡を直しながら、
三河はあっさり答えた。

「へえ…スゲー、どこで落としたんですか?」

「その話は後にして、試験に出るところだけ覚えようか」

恋人の話に俊一が興味深そうに食い下がるのを、
はにかんだ笑顔でかわしながら三河は蛍光ペンで線を引かれた場所を指差した。

「俊一くんなら、大学に行けばイヤでもモテるよ」

「マジで、ですか?」

話の腰を折られて、不承不承、彼から渡されたノートの書き込みを書き写しさせられながら、
俊一は確認した。

「だいじょうぶ、だいじょうぶ、それでわからない部分はある?」

「覚える箇所が多すぎなんですよね」

「僕も大学受験で生物が必要だったから、がんばって
細かいパーツまで覚えたよ」

「何かコツはありますか?」

「ゴロ合わせが一番早いと思うよ」

「肺の回りがテスト範囲らしいんですけど例えば?」

「ああっ、歌…っ」

「大丈夫ですか?俺のオヤジも風邪だから、多いですね」

マスクもしないで、目前で咳き込まれたので多少眉を顰めながら、俊一は真面目に質問した。

「肺の歌……思いつかないです」

「失礼、替え歌でいいと思うよほら…」

肺の仕組みの図解を見ながら三河は音程を外さずにその場で歌を歌いだした。

「肺胞~、肺胞~0・3mm~♪約3億個もあるよ、
肺胞~、肺胞~…肺胞~、肺胞~0・3mm~♪気管支と繋がってるよ肺ホー、肺胞っ!」

「……っスゲー………!」

色んな意味で驚嘆と尊敬の眼差しを向けると、三河は咳払いをしながら
得意げに笑った。

「ほら、覚えやすいだろ?」

「確かに覚えた、スゲーこれでいける貰った!」

そこでふと思いだしたように俊一は付け加えた。

「これ、カラオケでも歌えそうですよね……」

「カラオケ?ああ、うん、まあいいんじゃない…?」

怪訝そうな顔を一瞬浮かべた三河は次の瞬間に、激しく咳き込んだ。

「大変ですね…彼女からうつされたら……」

「いや、まあね……」

彼の照れ笑いを見ないふりして、俊一は無意識に風邪の菌から身を守るように、
口元を押さえた。

(カラオケボックス内で何人風邪をひいていたか明日、あいつに聞こう……箱の中は
逃げ場がない………。)

「……うぇっ…ゲホゲホゲホ…っ」

脇に挟んでいた体温計を確認して、彼はげんなりした顔で
ベッドにパタンと横たわった。

「俊ちゃん、学校には電話したからね、お母さんは夕方まで帰らないけど、
ちゃんとお薬飲んで寝ていなさいよー」「わかってるよ、げほ…寝てるから」

「………」

階下からの声がしなくなって一人でベッドに仰向けに寝ていた
俊一は冷蔵庫で凍らせたタオルを額に乗せ直しながら、ぎゅっと目を閉じた。

(誰から一番にうつされたんだろ…教師か、親父か、それとも……)

カラオケボックスのメンバーが全員元気に登校する中、俊一は理不尽な思いに
ひとり小さく胸を焦がした。

(マスクは風邪のときは全員必ず着用するように誰か法律を変えろ…
お陰で罪もない俺がこんな目に……)

額の体温からうつって熱を帯びてきたタオルを裏返しにすると、俊一は息を吐きながら、
再び目を閉じた。

(誰か、カラオケボックス内で、一昨日の思考をテレパシーで受け取っていたのか…
…これは…罰なのか……)

自虐的な自意識で少しだけ気分を紛らわせながら、少しでも眠ろうと彼はなるべく
体が楽になるように片手で頭の後ろのマクラを動かした。

「………。」

程なくして風邪薬が効いてきたのか、自然に瞼が重くなった俊一は、熱に浮かされながらも
比較的静かに寝息を立て始めた。

(……ぅ………)。重力から解き放たれて身体が宙にふわふわと浮き上がるような気持ち悪さと
共に彼は、夕暮れ時に目を覚ました。

(気持ち悪い……)

とっくに生暖かくなったタオルは頭から外れて、マクラの横にずり落ちていた。

(こんな時だけ、重力の恩恵と迷惑さを同時に感じてしまう……地球めっ)

38度5分の高熱のために身体が異様に重くなったり、かと思うとふわふわした心許なさを繰り返した
後、俊一は尿意をもよおして仕方がなく上体を起こした。

(親戚のおっちゃんのお見舞いに行った時に病院で尿瓶を見たことがあるけど、あんなのには
まだ世話になりたくはないな……)

覚束ない足取りで、何とか階下のトイレまでたどり着くと、丁度玄関のチャイムがなった。

(あれ…?まだ母さんが帰る時間じゃないけど、誰だろう……)
パジャマのまま着替える暇もなく、肩に上着を一枚羽織って、俊一は面倒臭そうな
面持ちで玄関に向かった。

「ん…?哲矢か?」ドア越しに声だけで相手の確認を取った俊一は重い体のまま、
玄関の鍵を開けた。

「大丈夫か…?今日、ゲームソフトを返すつもりだったからついでに寄ってみた」

扉の向こうには制服のまま哲矢が心配そうな顔で一人立っていた。

「俺の…風邪の日によくぞ来てくれた……なにも今日返しに来なくても良かったんだが……」

「いや、気になったからそれに……」

「なんだ、告白か…?だったら別の日にしてくれ、俺は明日までに熱を下げるために
これから再び寝る」

仕方がなく玄関から中に通すと、哲矢は一瞬言葉を濁してカバンの中から一本のゲームソフトを
取り出した。

「いや、ちょっと伝えておいた方がいいと思ったからさ、山っちが寝てても
別にいいよ………」


-----------------------------------------------------------------------------------------------------
超…就職氷河期物語。『KITIKU・SOHO師90』次回に続く………。

----------------------------------------------------------------------------------------------------

・ちなみにカテキョの三河先生の替え歌には、元ネタがあります。。
あれは「某作者」が高校生のころになんとなく実際に作った替え歌が元だとか。。。。。
覚えやすいのでほぼ永久に肺胞のことを忘れなくなると言うすばらしい替え歌です漏れなくご活用ください。
元曲はすぐに判りますよね


スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://vincent.blog72.fc2.com/tb.php/414-e3056155
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。