迷走、瞑想、競う、奇想。「生存」のタメの絵なのか、「絵」のタメの生存なのか。。。イラストレーターの「ロスジェネ時代」に奮闘(もうしない)イラストレーター!

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本日はクリスマス
サンタ拍手ありがとうです~

・風の大使のSSは年内最後の配信となります。
今年一年で、読んでくれた全ての皆様に感謝



第一章 (5) 『新たなステップ』後編

【フローラ】
「あ~あ、今日はスゴクはっちゃけちゃった。」

【ラーグ】
「まあ、こちらとしては補償さえして貰えれば、特に
問題はないけど……。」

ちんまりと纏まった繁華街を後にして、ラーグたちは木々の鬱蒼と茂った
修理工場の脇にある、シャトルの仮格納庫に向かって歩きはじめた。

【フローラ】
「うん、今日は色々迷惑をかけちゃったから、
後日改めてお詫びします」

素直にペコンと一回頭を下げて、フローラは格納庫を
指差した。

【フローラ】
「そうだ、あのシャトルを代わりにプレゼントします」

酔いが抜けかけたとはいえ、まだほんのり蒸気したままの顔で、
にっこり笑った彼女の横で、ラーグは慌ててかぶりを振った。

【ラーグ】
「いや、それは困る……」

【マリーン】
「えーーー、なんでよ!あれは最新鋭の機体じゃないの、
うちのシャトルより10倍は機能と装備がある……っ」

酔っ払いの口元を右手で塞いで、ラーグは軽く
溜息を吐いた。

【ラーグ】
「いま、繁盛記だから、それでなくても手続きが
多すぎる……誰がどこに出向くと思ってるんだよ。」

【アガタ】
「………。」

【フローラ】
「ん~~個人使用なら良いと思ったんだけどな、
お詫びのプレゼントじゃ駄目?」

【ラーグ】
「……!」

【ピトフーイ】
「ところで、うちの個はどこにいったの~?」

各々が虚を衝かれて、思わず黙り込んだ横で、
ピトフーイはマイペースで格納庫の周りを散策した。

【フローラ】
「ああ、貴社のシャトルなら、部品が足りないから、
明日まで、掛かるって言っていたよ。私が責任を持って
お届けします」

【ラーグ】
「ふう……まあ、今日は仕方がないから、臨時の便で
帰ろう」

【マリーン】
「今日は楽しかったわ、ありがとう」

【フローラ】
「いいえ、こちらこそ皆のお仕事の宴会に押し掛けちゃったから」

少しだけ、決まりが悪そうに彼女から差し出しだされた右手で、
握手を交わした後、ラーグたちは臨時に用意された小型の
シャトルに向かった。

【アガタ】
「あの、フローラさん」

搭乗口まで見送りに来ていたフローラに、
アガタは振り向き様に恐る恐る声をかけた。

【フローラ】
「ん?なぁに?」

【アガタ】
「今度、事務所に‥」

【フローラ】
「前もって連絡してくれたら、いつでも歓迎するよ」

【アガタ】
「あっ、はい…!」

にっこり笑って手を振ったフローラの前で、
軽く頬を紅潮させて、アガタはぎこちない会釈で返した。

【ピトフーイ】
「そういえば、なんで衝突したんだっけ?」

最後尾のスロープ前での2人の女子たちのやりとりを横目で見ながら、
ピトフーイは、軽く首を傾げた。

【ラーグ】
「宇宙空間での検証はめっちゃくちゃ時間が取られるから、
もういいよ……今回は判りやすかったしさ」

【ピトフーイ】
「でも賠償金が出るから、ちゃんとした方が良いよ、ねえ?」

【アガタ】
「ピトフーイさん…」

何となく間に割って入ろうとしたアガタを片手で制して、
ピトフーイはフローラに返答を促した。

【フローラ】
「それなんだけど、貴方達のシャトルにぶつかる前が、
少し変だったの……」

【ピトフーイ】
「ほらほら」

【ラーグ】
「混ぜっ返すなよ……」

額に左手を当てながら、乗り込み掛けたシャトルから一旦地面に
降りたラーグの横で、ピトフーイは得意げに笑みを浮かべながら首を傾けた。

 
【フローラ】
「その前に、衝突が遭った時は、確かに私にも操作が甘かった
ところがあったけどね」

【マリーン】
「そりゃ、宇宙レーサーも真っ青な猛スピードで
隕石地帯に飛び込んだものね、脱出のタイミングが
取れたのが奇跡に聞こえるわ」

【フローラ】
「うん、その件は反省してます。」

いつの間にか全員揃った前で、フローラは数時間前の出来事に、
思いを馳せる様に、手を宙に浮かせたまま、眉間に皺を寄せた。

【フローラ】
「でも、あの脱出カプセル自体が簡易の宇宙船の機能も
備えているから、余程のことが無い限りは、ぶつかることは
ないと思った…スピードなんて完全制御されてるし」

【ピトフーイ】
「余程のことって?」

【フローラ】
「だから、最初の事故の時みたいに、どちらかが
猛スピードで突っ込んだり………あっ!」

【ラーグ】
「ちょっと待て……」

同時に注がれた人員の視線に思わず、歯を見せて反論
しながら、ラーグはフローラの前に一歩出た。

【フローラ】
「疑ってる訳じゃないんだよ、もしかしたら脱出の際に、
どこかで僅かに掠ったかもしれない、その所為で、運悪く
衝突したかもね……。」

苦笑を浮かべて、肩を竦めた彼女の前で、
ラーグは腕組みをして、目を軽く伏せた。

【ラーグ】
「計器は見てた、整備も商売道具だから毎日出掛けに
してるよ」

【アガタ】
「……」

【マリーン】
「あら、でもスピードが速い物が来てたんじゃ
なかったっけ?私も何か見たような気がする…」

【ピトフーイ】
「とりあえず、あの個が戻って来るまで、データが
見られないんじゃないの~?もう帰ろ、酔いが冷めた。」

【マリーン】
「飲んでないでしょ…」

【ラーグ】
「………」

【アガタ】
「ラーグさん」

【ラーグ】
「ああ、判った。とにかく、今日は一旦解散しよう」

ハラハラしながら事の成り行きを見つめていたアガタに頷き
返して、ラーグはその場の空気を収めた。

【フローラ】
「私の方も明日、伺います。気をつけて帰ってね。」



【ラーグ】
「………。」

小型シャトルの右列に並ぶ、一番前の窓際の、
柔らかいシートに深く沈みこみながら、
ラーグは本日、何度目かの小さな嘆息を吐き出した。

【マリーン】
「お疲れ様」

労うようにマリーンから差し出された、カップのコーヒーを受け取りながら、
彼は軽く閉じかけていた瞼を眠そうに瞬かせた。

【ラーグ】
「とんでもない、休日になってしまったな……」

【マリーン】
「折角だから、あれも貰っておけば良かったのに、勿体無い」

【ピトフーイ】
「要らないんだったら、あたしが貰っても良かったな~」

2人のやり取りにピトフーイは背後から口を挟みながら、
立ち上がった。

【マリーン】
「あら、どこに行くの?」

【ピトフーイ】
「操縦席を見てくる、ロボットが運転してるのは
面白い」

【マリーン】
「やーね、落書きして壊れたらどうするの?」

言いながら、興味深そうに操縦席を覗き込んだ
マリーンの右肩にポンと手を載せてピトフーイは
操縦席から、軽口を叩いた。

【ピトフーイ】
「人にだって時々、落書きするよ。そっちの方が
壊れたら余っ程煩いよねえ、社長。」

【ラーグ】
「………」

責任の所在がない者の気楽な傍観的な講釈にも、反論
しないまま、再び、ラーグはシートで目を閉じた。

【アガタ】
「………」

左端のシートに一人で座っていたアガタは、心の中で
今日の出来事を反芻していた。

【アガタ】
(結局、何にも手伝えなかったな……。)

宴会の席のハプニングとは言え、それも仕事の延長に
なりがちな社会の暗黙の流れの中で、取り残された
観のまま、アガタは内心でごちた。

【アガタ】
(こんなことで、土星に行くまで此処に居て、
役に立てるのかな……。)

早くも頓挫しそうな、想念を振り払うように、アガタは
シャトルの内部を見渡した。

【アガタ】
(ラーグさん、寝てるのかな)

目に止まった横列先頭のラーグの淡い金髪の後ろ頭をなんとなく
眺めていたアガタは、ふいに振り向いた彼と目が合った。

【アガタ】
「あっ、お疲れ様です…。」

【ラーグ】
「起きてた?もう、そろそろ到着する頃だから、寝ていたら
起そうと思って…。」

【アガタ】
「いえ、起きてました、無人のシャトルは初めてなので、
珍しくて」

【ラーグ】
「そうか、今日は滅多にないハプニング日和だったからね、
疲れただろう?」

シートに座ったまま、首の後ろに回した両手を組んで、
軽く背筋を伸ばして、背伸びをしながら、ラーグは口の中の
欠伸を噛み殺した。

【アガタ】
「特に何にもしてませんから」

【ラーグ】
「ん?」

訝しげに振り向いた、彼と視線を微妙に逸らしながら、
アガタ通路沿いの操縦席の扉を見た。

【アガタ】
「まだ、免許も持っていないので、余りお役に立って
いないです」

【ラーグ】
「順番に覚えればいいよ、直ぐに何でも
一人で出来たら、ピトフーイだって立つ瀬がないだろ」

【アガタ】
「そうですね…」

部下を労わるように、柔らかく諭した
彼の前で、頷きながら、アガタは
成り行きで本音を吐露してしまったことに、
幾許か後悔の念を抱いた。

【ラーグ】
「もう少ししたら土星の近くまで行くけど、
本当に大丈夫?」

【アガタ】
「はい」

【ラーグ】
「そうか、ありがとう」

【アガタ】
「はい…えっ?」

【ラーグ】
「先にお礼はうちの慣行だから、いや、いいんだ…」

【アガタ】
「………」

【ピトフーイ】
「ちょっとマズイことになったな~」

2人の間にナチュラルな沈黙が降りた間際に、
操縦席から、ピトフーイ等が戻って来た。

【マリーン】
「確かに不味いわね~。」

【ラーグ】
「聞きたくない……」

【ピトフーイ】
「器が狭いな~」

【ラーグ】
「おやすみ……。」

【アガタ】
「……。」

しかめっ面で通路に佇む大人2人の前で、ラーグはシートベルトを
締め直してシートに沈み込んだ。

                              (風の大使ⅡS・S編 続く)




・:,。゚・:,Meryy X'mas・!:。゚・:,。☆

・追記:
フローラ役でご参加いただいている東雲さまより、クリスマスかけあいのファイルを
頂戴いたしましたー
ありがとうございました

サンタさんがカワイそう過ぎて、笑…いえ、壺でした。

クリスマスメールを送ってくださった方もありがとう~

手ぶらサンタでごめんなさい
来年は皆様のご期待に添える様にがんばりますので、よ・ろ・し・く~



☆☆― 嵐の惑星で巻き起こる・重厚なミステリー! ☆
☆『風の大使Ⅱ』全年齢フリーゲーム只今製作中☆

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