迷走、瞑想、競う、奇想。「生存」のタメの絵なのか、「絵」のタメの生存なのか。。。イラストレーターの「ロスジェネ時代」に奮闘(もうしない)イラストレーター!

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第一章 (5) 『新たなステップ』前編

【アガタ】
(あの人に…似てる。衛星都市で私に笛をくれた人……。)

彼女の姿を一目見て、アガタは思わず動きを止めて固くした。

【フローラ】
「よろしくね、アガタさん」

直ぐ隣の席で、乗員から受け取ったミネラルウォーターのカップに
ストローを差しながら、フローラは屈託無くアガタに話しかけた。

【フローラ】
「私と年はあんまり変わらなく見えるけど、此処のお勤めは
長いの?」

【アガタ】
「いえ、まだ2週間ほど前に…」

【フローラ】
「そうかー、じゃあ今が覚えることが一杯で一番
大変な時期だね」

【アガタ】
「はい、それで…あの…笛はお好きですか?」

思わず胸の前で軽く握りこぶしを作りながら、アガタは
まだ少し緊張したままの面持ちでフローラの顔を見た。

【フローラ】
「えっ?笛?吹けるの?わー聴きたいな」

アガタの唐突な質問にも、にこやかに答えながら、
フローラはカップの水を一回吸い上げた。

【アガタ】
「いえ、今は手元には無いのですが…」

【フローラ】
「そうだよね、今は仕事中だから、また今度の機会に聴かせてね」

演奏の話を曲解した彼女は、そのままの流れで答えた。

【アガタ】
「あっ、はい…!」

【マリーン】
「今日は仕事じゃなくて、飲みに行くだけよ」

そんな2人のやり取りを前の席で黙って聞いていたマリーンは、
振り向きざまに合いの手を入れた。

【アガタ】
「はい…!」

【フローラ】
「あー、いいな今月は会議やロビーイングの話が多くて、
友達と中々飲みにもいけないんだよね」

【マリーン】
「それは良いけど、なんで今日は漂ってたの?」

【アガタ】
「……」

【フローラ】
「そうね、ぶつけちゃったんだから話して置かないと…」

2人がフローラに興味深げな視線を向けた時、前方の
カーテンが横に開いて、さっとラーグが顔を覗かせた。

【ラーグ】
「そろそろ最寄の衛星に着くから、全員シートベルトを
締めてるか?」

【マリーン】
「あっ、ねえ、今から彼女に今回の原因を尋ねてる最中だったんだけど‥」

まだシート越しに後ろを向いたままの姿勢で、マリーンは
振り向きながら返答した。

【ラーグ】
「うん、それは着いてからオレも聞こうと思ってる」

ラーグは軽く頷きながら、マリーンの前を通って、隣の開いている席に
腰を下ろした。



木星近辺に漂う人口衛星『アイズ』は、元からあった自然の小衛星に、
全面コーティングした人口の都市が並ぶ拡張型の星だった。

【マリーン】
「ぅわーお、いっつも此処は素通りか、あんまり来ることは
無かったけど、中々、良いお酒があるじゃない?」

【ピトフーイ】
「そんなに飛ばしてたら、帰りの便でトイレから
出さないよー」

【マリーン】
「あら、そう言えば二人とも運転があるから、飲んでるのは
私だけ?アガタさんは未成年よね?」

【アガタ】
「はい、まだです」

【ピトフーイ】
「まだだってさー、飲ませてやれば?社長~」

感じの良いインテリアの居酒屋の個室の丸テーブルの一室を
5人で陣取りながら、ピトフーイは隣の席のラーグに
水を向けた。

【ラーグ】
「無茶を言うなよ…」

お酒の変わりにノンアルコールのビールを飲みながら、
ラーグは軽く顔を顰めた。

【マリーン】
「ん~、仲間が居ないとなんか寂しいわね、そういえば…」

【フローラ】
「あっ、あたし、飲める!じゃんじゃん持ってきて」

片手を挙げてフローラはオーダーを追加した。

【マリーン】
「そうよね、ろくでもない日に乾杯しなきゃねー、それじゃ
おつまみは…これとこれと、きゃー、川魚だって」

【ラーグ】
「いや、あのさ…」

【ピトフーイ】
「飲まない人は食べる掟ー、ほらアガタ」

【アガタ】
「えっ、こんなに食べていいんですか?一人分が
5人前ほど……」

【フローラ】
「いーのいーの、まだ成長期でしょ?いっぱい食べてねー」

【ピトフーイ】
「いーのいーの、いっぱい食べてね?あたしも食べるから」

ピトフーイは自分の更に脂っこそうな豚の炒めをどさっと
盛った。

【ラーグ】
「それで、シャトルの修理の件なんだけど…」

【フローラ】
「えっ?なに?ああ、そうそうビビンバとか修理しなきゃね、持ち帰り
OKよ!」

【ピトフーイ】
「よし、あたしは~その太っ腹に乗ったよ」

【マリーン】
「アガタさんは何飲むの?」

【アガタ】
「いえ、えっとプーアル…?」

アガタはスクリーンのメニューをきょろきょろ見回しながら、
見慣れない文字に首を傾げた。

【ラーグ】
「…お前ら、オレを置いていくな」

【マリーン】
「やーね何いってるの~、こんだけ腐れ縁かましてるのにー、
さてはこっそり飲んでるでしょあはははは…」

酒瓶を傾けながら、向かいの席から身を乗り出して、
マリーンは軽くラーグの肩を叩いた。

【アガタ】
「あの、そういえばどうして事故が起きたんですか?」

ラーグとフローラの間の席に座って、ウーロン茶を飲んでいた
アガタは、オーダーを追加し続ける彼女に小声で話しかけた。

【フローラ】
「あっ、そうだねその話をしようと思って一緒に来たんだ」

【ラーグ】
「レーダーには、他にシャトルらしき影は無かったけど、
どこから?」

【フローラ】
「うーん、違法の産業廃棄物の不法投棄をしていた
船を追いかけていたら、流星に当たったからね」

【アガタ】
「えっ?!」

【ラーグ】
「なんで、そんなことまでしてたんだよ?この宙域で
スピードを上げるのは自殺行為だろ?」

【フローラ】
「なんでって、元々会議に行く途中だったんだけど、目の前に
そんな船が居たから、成り行きかなー、丁度私一人で
出てたし」

【アガタ】
「怪我は無かったんですか?」

心配そうに見つめるアガタの頬に軽く指を一本当てて、
フローラはにっこり笑った。

【アガタ】
「えっ…?」

【フローラ】
「こんな風にポンっと当たった瞬間に自動で脱出したから、平気だよ」

【アガタ】
「はい、良かったです」

【フローラ】
「アガタさんは優しいよね、良かったら今度うちの事務所に
遊びに来てよ、住所は、此処でー…」

【アガタ】
「はい、勿論行きます…!」

【ラーグ】
「………」

思わず彼女に釣られて笑みを零したアガタの隣で、何となく
所在無さげに、ラーグは手元の小型コンロの上の鍋をかき回した。

【マリーン】
「ラーグも酔っちゃえば?」

いつの間にか、反対側の隣の席に座っていたマリーンが水を向けた。

【ラーグ】
「ピトフーイだけに運転させる訳には行かないだろ…
時間外手当は出せないし」

【マリーン】
「じゃあね、髪を伸ばしてみるとか~」

ちらっと、アガタたちを見て耳打ちしたマリーンに、
今回一番の顔を顰めてラーグは首を振った。

【ラーグ】
「仕事中にモサモサするからイヤだ」

【マリーン】
「…もさもさ?!」

        
               (風の大使ⅡS・S編 続く)



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久々のSSなのに後半が酔っ払いシーンが多いな;;;
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