迷走、瞑想、競う、奇想。「生存」のタメの絵なのか、「絵」のタメの生存なのか。。。イラストレーターの「ロスジェネ時代」に奮闘(もうしない)イラストレーター!

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第一章 (挿話) 『光速船』

どれ程の間、そこに立ち尽くしていたのだろう……。
気が付くと私は一人で、星系の外れにある小さな小惑星郡の中の、更に
小さな星に降り立っていた。名も無き小さな星……しかし、そこは
太陽の恩恵からは程遠いところにある、氷の準惑星だった。

幸い、救助の信号は大気圏に突入する前に発信した。多分、
間に合っていると思う。我ながら、ツイていない日だと思ったけれど、
考えようによっては、珍しい場所にバカンスに来たと思えなくもない。
小型のシャトルの燃料は万が一に備えて、1~2週間は最低でも
持つ態勢にしてある。私は……シャトル内のヒーターのメモリを最弱に
セットした後、防寒着を着込んで外に出た。そうした方が良いように
思えたのは、先程、外に出て確認した時に見た"あるもの"の所為。
人の気配の無くなった小型船は、たちまち、冷たい金属の塊に姿を変える。

積年につもりにつもった雪の山は氷となって、鋭い刃物のようなギザギザの先を持つ
氷山の景色をコラージュした。吐く息が文字通り凍て付く中での物見遊山の強行は、
とても正気とは思えない。しかし、人間は良くも悪くも状況に馴化してしまうやっかい
性質も備えている。私は氷の精にでもなったつもりで、この"キチガイじみた"状況を楽しんだ。

ぐるっと360度、周りの景色を眺めてみる。どこもかしこも氷と雪の山だけだ。
シャトルの位置は手元のレーダーがまだ捉えている。ついでに、その隣に落ちていた
ニアミスした船の燃えカスも一緒だ。気の毒な事故だと思う。一緒に、この星に落ちた
私も随分と悲惨だ。あれが無人か有人のシャトルだったのか、残骸だけでは確認
不能だった。もう完全に凍り付いているところを見ると、この星の地表の気温はマイナス
500℃以下だろう。耐寒スーツがギリギリで悲鳴を上げている。

幾らなんでももう、シャトルに戻った方が良いだろう。一人ぼっちの氷の精霊王は、
人へと再び輪廻する。耳のそばで鋭く甲高い風雪の音が鳴り響く、振り向いた私は…
お約束のように、足を滑らせて雪の中に転んだ。



…立ち上がって気が付いた。なんだつまらない……。足の下のつるつるの氷の薄い膜の
下っ側には、何かの構造物の残骸が確かに埋もれていた。此処にも人為の開発の
名残がある。この星も、無人惑星では無かったのだ。少なくとも過去には手垢の付いた
何かの痕跡を残している。常識的に考えれば救助を待つ身なのだから、少しでも早く
、誰かが辿り着いてくれれば喜ばしい話なのに、私はほんの少し落胆した。
子ども染みた占有欲の為だけではない、人の貪欲さと好奇心と、お定まりの
無責任にうんざりした為だけでもない…良く判らない……初めに、此処に降り立って、
そして、この星には何か不可思議なものが宿っていると感じたから……。

疲れているのかも知れない、この数日中に、余りにも色々なことがあり過ぎたから……。
そう思い直して、私は何かを振り切るように、再び吹雪の中を歩き出した。

"その時、何かが頭の中を過ぎった。"


遠くで誰かが悲鳴を上げた。 いや、それは雪の音だったのかも知れない。
シャトルに戻りかけた私は、即座に背後を振り向いた。そして……。
立ち昇る雪煙の中、氷に反射して写る、山のふもとから駆け下りてくる、
懐かしい友の姿を確かに見つけて、その場に立ち尽くしたまま歓喜した。

立ち昇り続ける雪煙の直ぐ向こう側に……!


                     『風の大使Ⅱ (挿話)光速船 END.』
                       (風の大使ⅡS・S編 続く)


 

・風邪の引き掛け、その前に大使の続きを書いてしまえ…(なんでや)
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